本研究の目的は、1.乳がん初期治療後のmodifiable life style (食事・運動・肥満・睡眠・飲酒・喫煙など) や代替療法が、その後の乳がんアウトカム(再発や死亡・治療関連合併症・健康関連QoL)や二次がんの発生に及ぼす影響を、横断研究のfollow upデータ解析および前向きコホート研究により明らかにする。2.コホート研究では、治療側の因子として乳がん診療の質指標(Quality Indicator: QI)を用いた評価を行い、診療の質の阻害要因、QIと乳がんアウトカムとの関連を明らかにする。本研究では、以下の取り組みを実施した。 横断研究:先行研究では、乳がん診断後のライフスタイルの変容を明らかにするため、470例を対象とした横断調査を実施し、調査票データと血液検体の収集と解析を実施した。また対象症例の予後調査を実施し、本研究の成果は2018SABCSに報告する予定である。 縦断研究:平成25年2月より乳癌診断後のライフスタイルと乳癌アウトカムとの関連性の検証を目的とした多施設共同コホート研究を開始し、現在進行中である。同コホート研究は、地域の乳がん登録データベース(臨床病理学的情報・治療関連情報・予後情報を網羅)を基盤として、ライフスタイルや代替療法に関する調査を年1回継続し、診断時と1年後の血液検体を収集している。コホート研究の目的は、包括的な乳がんアウトカムとして、治療関連合併症・心理・身体機能・健康関連QoLを予後情報に加え測定し、modifiable life styleとの関連を明らかにすることである。同コホート研究には、2018年2月にほぼ目標症例数の1942例の登録を完了し、今後追跡調査を実施する予定である。
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