研究課題/領域番号 |
15K08718
|
研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
銀 光 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (90444786)
|
研究分担者 |
内藤 真理子 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10378010)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 2型糖尿病 / コーヒー摂取 / 遺伝子多型 / 分子疫学 |
研究実績の概要 |
日本多施設共同コホート研究(Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study)のデータセットを用いて横断解析を行った。J-MICC Studyは、糖尿病など生活習慣病における遺伝子環境相互作用を調べることを目的として2005年に基礎調査が開始された。平成27年度は遺伝子多型と空腹時血糖値との関連を検討するための横断研究を実施した。横断研究の対象は、J-MICC Study参加者男女4,519名で年齢35~69歳である。血糖値の解析で、血糖欠損値、ADH1B及びALDH2 遺伝子型データが得られなかった者、糖尿病の既往歴のある者、BMIの欠損値、飲酒量の欠損値がある者及び非空腹時の者2,458名を除外した2,061名(男1,070人、女991人)を対象とした。調整要因としては、年齢、BMI及び飲酒を考慮した。遺伝子多型はMultiplex PCR-based Invader assay方法により決定した。コーヒー摂取量はADH1B遺伝多型やALDH2遺伝子多型により違いが見られた。男性では飲酒量が多くなるほど、空腹時血糖値が上昇した(傾向性P = 0.02)が、女性では見られなかった。ADH1B 遺伝子型と空腹時血糖値との関連は見られなかった。男性では、ALDH2 遺伝子多型と空腹時血糖値との関連が見られた。Glu/Glu型、Glu/Lys型及びLys/Lys型の補正平均空腹時血糖値(SE)はそれぞれ99.1 (0.5)、97.8 (0.6)及び95.6 (1.3)であり、統計学的に有意の差が認められた(P = 0.04)。しかしながら、これらの遺伝子多型と飲酒との交互作用は見られなかった。結論として、日本人男性に限り、ALDH2遺伝子多型は飲酒習慣を介して空腹時血糖値と関連していることを示したものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
名古屋大学大学院医学研究科予防医学教室の分担研究者である内藤先生のご協力で、 実験が順調に進み、データの収集ができ、論文作成も順調であった 研究対象者は2008年6月から2009年5月の期間に面接調査方法で募集した35-69歳の名古屋市一般住民で、生活習慣要因資料、生体試料及びDNA試料が収集され、遺伝子多型解析の同意が得られた男女である。遺伝子多型解析と成果の取りまとめ:平成27-28年度は最近のGenome-Wide Association Studyにより報告されたコーヒー摂取習慣と関連する候補遺伝子多型AHR (rs4410790)、 CYP1A2 (rs2472304)及び飲酒関連遺伝子多型ADH1BとALDH2の解析を行った。ADH1BとALDH2遺伝子多型と2型糖尿病リスク(空腹時血糖値Iとの関連を解析し、これらの遺伝子多型とコーヒー摂取、飲酒摂取量との交互作用を検討し、それを論文にまとめた(Nagoya J Med Sci. 2016 May;78(2):183-93)。また、CYP1A2遺伝子多型と2型糖尿病リスクとの関連について、統計解析をし、論文作成中である。 。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、名古屋大学大学院医学研究科予防医学実験室で、コーヒー摂取習慣と関連する候補遺伝子多型NCALD (rs16868941), PAPSS1 (rs3733633)及びGRIN2A (rs4998386)などの遺伝子解析が行われている。また、研究代表者の研究室では、横断研究の調査資料、生体試料及び実験のデータ整理が順序に進んでいる。平成29年度はこれらの遺伝子多型と空腹時血糖値との関連を統計解析し、論文にまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度4月から6月までの期間に、実験消耗品の支出が必要になるので、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年平成29年度4月から6月までの期間に、実験消耗品(プライマー、PCR実験など)の支出として、489,919円を予定している。
|