研究実績の概要 |
この研究では、日本多施設共同コホート研究(Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study)のデータセットを用いて横断解析を行った。研究対象者は2008年6月から2009年5月の期間に面接調査方法で募集した35-69歳の名古屋市一般住民で、生活習慣要因資料、生体試料及びDNA試料が収集され、遺伝子多型解析の同意が得られた男女である。コーヒー摂取習慣と関連する候補遺伝子多型AHR (rs4410790)、 CYP1A2 (rs2472304)、 NCALD (rs16868941), PAPSS1 (rs3733633)、GRIN2A (rs4998386) CAB36L、LBMA4及び飲酒関連遺伝子多型ADH1BとALDH2の解析を行った。平成27ー28年度は実験が順調に進み、データの収集ができ、論文作成も順調であった。ADH1BとALDH2遺伝子多型と2型糖尿病リスクとの関連を解析し、これらの遺伝子多型とコーヒー摂取、飲酒摂取量との交互作用を検討し、それを論文にまとめた(Nagoya J Med Sci. 2016 May;78(2):183-93)。具体的には、コーヒー摂取量はADH1B遺伝多型やALDH2遺伝子多型により違いが見られた。男性では飲酒量が多くなるほど、空腹時血糖値が上昇した(傾向性P = 0.02)が、女性では見られなかった。男性では、ALDH2 遺伝子多型と空腹時血糖値との関連が見られた。結論として、日本人男性に限り、ALDH2遺伝子多型は飲酒習慣を介して空腹時血糖値と関連していることを示したものである。しかしながら、平成29年度は遺伝子多型の測定や再測定に時間がかかり、現在、コーヒー摂取習慣と関連する候補遺伝子多型CYP1A2, NCALD (rs16868941), PAPSS1 (rs3733633)、GRIN2A (rs4998386)、CAB36L及びLBMA4などの遺伝子解析が終了し、これらの遺伝子多型と空腹時血糖値との関連を統計解析し、論文作成中である。
|