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2015 年度 実施状況報告書

次世代シークエンサーによる乳がん及び前立腺がん特異的がん関連遺伝子の多型解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K08720
研究機関千葉県がんセンター(研究所)

研究代表者

中村 洋子  千葉県がんセンター(研究所), がん予防センター, 主席研究員 (60260254)

研究分担者 三上 春夫  千葉県がんセンター(研究所), がん予防センター, 部長 (10332355)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード乳がん / 前立腺がん / エクソーム解析 / がん関連遺伝子 / 次世代シークエンサー
研究実績の概要

千葉県東北部には、がんの集積性が見られ、その地域を含む健常者約8,000 人を対象に最長8年間追跡しているコホート研究が進行中である。その中で県内のがん高発症地区の原因究明と体細胞変異との関連について検討し、さらに院内患者集団と比較し、リスクマーカー、体細胞変異Signatureを同定し、がん予防、治療、予後予測へ結びつく分子診断技術を将来的に開発することを目的としている。
このコホート研究で収集した血液検体を用い、乳がん発症40 例、前立腺がん発症28例をリスク群、さらに70 歳までがんの発症がなく、がんマーカー(CEA,CA19-9)陰性、家族歴無しの33 例を非リスク群として、400 種類以上のがん関連遺伝子について、リスク群特異的かつ機能的な多型同定のため、Ion Ampli SeqとComprehensive Cancer Panel(CCP)を使用し、Ion Torrent PGM半導体シークエンサー解析を行った。さらに、キャピラリーシークエンサーによる遺伝子変異解析等を行った。その結果、リスク群は非リスク群に比べ、より多くの報告されていない遺伝子多型が検出され、ナンセンスやミッセンス変異を示す多型も多く検出された。その中で遺伝子多型に伴いアミノ酸変化が認められ、タンパク構造に影響を与え、タンパク質の機能を変えることが予測される2遺伝子に注目した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた以下のことが解析できた。
健常者約8,000人のコホート検体より、乳がん及び前立腺がん発症検体を用いて次世代シークエンサーによる解析を行い、50 以上のホットスポット(頻度の高いp53やRAS などの遺伝子変異)を含む409 種類のがん関連遺伝子の全エクソンを解読することで、1.75Mbの領域の配列解読を行った。がん関連遺伝子の機能的にがんに関与すると考えられるアミノ酸の変化やストップコドンを創出するミッセンス・ナンセンス変異を同定することができた。さらに、遺伝子多型に伴いアミノ酸変化が認められ、タンパク構造に影響を与え、タンパク質の機能を変えることが予測される2遺伝子を選択した。
また、次年度に向けて、乳がん及び前立腺がんの臨床検体を用いてゲノム配列解析を行い、選択した2遺伝子に同様の多型が高頻度に認められるか検討する準備は整っている。

今後の研究の推進方策

平成27年度の解析より注目した2遺伝子について更なる解析を行う。乳がん及び前立腺がん患者の臨床検体を用いてゲノム配列解析を行い、選択した2遺伝子に同様の多型が高頻度に認められるか、体細胞レベルでの変異が認められないか等の検討を進める。さらに、この2遺伝子以外の候補遺伝子を探索し、乳がん及び前立腺がんでの新たな機能関連遺伝子として検討する。これらの遺伝子変異が単独でバイオマーカーとなり得るかについて症例を増やして検討し、それぞれの腫瘍で複数の変異をパターンとして認識し、Mutation Signature を同定する。また、それらのSignature と臨床所見との相関解析を行うことで、様々な臨床所見(治療感受性や予後、病理、生化学検査、発生部位等)のprediction marker となり得るかをトレーニングセットで検討する。

次年度使用額が生じた理由

乳がん及び前立腺がんに特異的な遺伝子多型を同定するため、次世代シークエンサーによる解析を行い、得られた遺伝子多型の情報から、2遺伝子の選択を行ったが、より多くの情報が取得できたため、次年度にその情報を取りまとめ、更なる候補遺伝子の選択を行うこととした。

次年度使用額の使用計画

次世代シークエンサー解析より、得られた遺伝子多型の情報をまとめ整理し、さらに乳がん及び前立腺がんに関連した遺伝子の探索を行う。また、キャピラリーシークエンサーによる候補遺伝子の機能的変異解析を行う。

研究成果

(7件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 学会発表 備考

  • [雑誌論文] Effects of novel small compounds targeting TrkB on neuronal cell survival and depression-like behavior.2016

    • 著者名/発表者名
      Fukuda M, Takatori A, Nakamura Y, Suganami A, Hoshino T, Tamura Y, Nakagawara A.
    • 雑誌名

      Neurochem. Int.

      巻: 97 ページ: 42-48

    • DOI
      10.1016/j.neuint.2016.04.017.
    • 査読あり / オープンアクセスとしている / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] BMCC1, which is an interacting partner of BCL2, attenuates AKT activity, accompanied by apoptosis.2015

    • 著者名/発表者名
      Tatsumi Y, Takano R, Islam MS, Yokochi T, Itami M, Nakamura Y, Nakagawara A.
    • 雑誌名

      Cell Death Dis.

      巻: 6 ページ: :e1607

    • DOI
      10.1038/cddis.2014.568.
    • 査読あり / オープンアクセスとしている / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Functional interplay between MYCN, NCYM and OCT4 promotes aggressiveness of human neuroblastomas.2015

    • 著者名/発表者名
      Kaneko Y, Suenaga Y, Islam SM, Matsumoto D, Nakamura Y, Ohira M, Yokoi S, Nakagawara A.
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 106 ページ: 840-847

    • DOI
      10.1111/cas.12677.
    • 査読あり / オープンアクセスとしている / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 半導体次世代シークエンサーによるリスク集団特異的がん関連遺伝子多型解析2015

    • 著者名/発表者名
      中村洋子、丸喜明、巽康年、横井左奈、大平美紀,、中村友紀、高山喜美子、稲田潤子、片山稔、永瀬浩喜、三上春夫
    • 学会等名
      第53回日本癌治療学会学術集会
    • 発表場所
      京都国際会館
    • 年月日
      2015-10-29 – 2015-10-31
  • [学会発表] 半導体次世代シークエンサーによるリスク集団特異的がん関連遺伝子多型解析2015

    • 著者名/発表者名
      中村洋子、丸喜明、巽康年、横井左奈、大平美紀、中村友紀、高山喜美子、稲田潤子、田中尚武、山本尚人、鍋谷圭宏、滝口伸浩、植田健、片山稔、永瀬浩喜、三上春夫
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第60回大会
    • 発表場所
      京王プラザホテル
    • 年月日
      2015-10-14 – 2015-10-17
  • [学会発表] Analysis of cancer risk-associated genetic variations by using semiconductor-based next-gen sequencings in J-MICC study2015

    • 著者名/発表者名
      Yohko Nakamura, Yoshiaki Maru, Yasutoshi Tatsumi, Sana Yokoi, Miki Ohira, Yuki Nakamura, Kimiko Takayama, Junko Inada, Jin Katayama, Hiroki Nagase, Haruo Mikami
    • 学会等名
      第74回日本癌学会学術集会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10
  • [備考] 千葉県がんセンター研究所

    • URL
      http://www.pref.chiba.lg.jp/gan/kenkyujo/index.html

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公開日: 2017-01-06  

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