研究課題/領域番号 |
15K08722
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
山地 太樹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 室長 (10466203)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大腸がん / FTO遺伝子 / 遺伝子多型解析 / レプチン / アディポネクチン |
研究実績の概要 |
研究2年目となる平成28年度は、前年度に続き、Mendelian Randomization 法を適用するために必要なゲノム網羅的な遺伝情報を多目的コホート研究のベースライン調査時に収集したDNA検体から抽出した。また、平成27年度にMendelian Randomization 法を適用しないで、疾病罹患前の血漿アディポカイン濃度と大腸がん罹患リスクとの関連を検討した結果、血漿レプチン濃度と大腸がん罹患リスクとの間に統計学的有意な正の関連を観察したものの、血漿アディポネクチン濃度と大腸がん罹患リスクとの間には統計学的に境界域な負の関連しか観察されなかったため、当初研究計画で平成29年度に対象とする予定であった血漿レプチン濃度から研究を開始することとした。従って、研究全体の進捗がやや遅れている。血漿レプチン濃度を対象とした研究を推進していく過程で、近年のゲノム網羅的関連解析の結果、血中レプチン濃度との関連が示唆されているFTO遺伝子に見られる複数の遺伝子多型と大腸がん罹患リスクとの関連を検討した。対象とした8つの遺伝子多型ほぼ全てで、統計学的に境界域な関連が見られた。大腸がん罹患リスクが上昇していた遺伝子型は、血中レプチン濃度が上昇すると考えられている遺伝子型と一致していた。血中レプチン濃度と相関することが知られているBody Mass Indexで調整したところ、FTO遺伝子に見られる遺伝子多型と大腸がん罹患リスクとの関連が更に強まったことは、大変興味深い知見である。平成29年度は、当初研究計画で平成28年度に対象とする予定であった血漿アディポネクチン濃度を含めて研究を推進し、Mendelian Randomization 法を用いて大腸がん罹患リスクとの関連を検討していく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の当初研究計画では、血漿アディポネクチン濃度を対象に研究を進める予定であったが、平成27年度に行った従来法による解析で大腸がんとの有意な関連が見られた血漿レプチン濃度の研究を優先させることとしたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初研究計画で平成29年度に対象とする予定であった血漿レプチン濃度から研究を開始することになったため、研究全体の進捗がやや遅れている。本年度は、当初研究計画で平成28年度に対象とする予定であった血漿アディポネクチン濃度を含めて研究を推進し、Mendelian Randomization 法を用いて大腸がん罹患リスクとの関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度末に発注を行い、納品が平成29年度となったため、平成28年度の支出として計上されなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
既に執行を完了している。
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