研究実績の概要 |
研究最終年度となる平成29年度は、Mendelian Randomization法を用いて未知・未観察の交絡による影響を調整した疾病罹患前の血漿アディポカイン濃度と大腸がん罹患リスクとの関連を検討した。 まず、血漿レプチン濃度との関連を検討するため、近年のゲノム網羅的関連解析から血漿レプチン濃度との関連が示唆されているGCKR, COBLL1, CCNL1, LEP, FTO, SLC32A1等の遺伝子から複数の遺伝子多型を選択した。次に選択した複数の遺伝子多型と大腸がんとの関連をコホート内症例対照研究のデザインで検討した。Mendelian Randomization法を適用して求められたオッズ比が統計学的有意だったことから、平成27年度にMendelian Randomization 法を適用しないで観察された、疾病罹患前の血漿レプチン濃度と大腸がん罹患リスクとの関連を検討した結果は、未知・未観察の交絡により観察されたものではないことが示唆された。ただし、95%信頼区間の幅が相当に広かったため、Mendelian Randomization法の前提条件を満たす遺伝子多型が適切に選択されていたか、精査する必要があると考えている。 同様に、Mendelian Randomization法を用いて未知・未観察の交絡による影響を調整した疾病罹患前の血漿アディポネクチン濃度と大腸がん罹患リスクとの関連するため、近年のゲノム網羅的関連解析から血漿アディポネクチン濃度との関連が示唆されているADIPOQ, ARL15, GPR109A, CDH13, PEPD等の遺伝子を中心に複数の遺伝子多型を選択し、現在Mendelian Randomization法による解析を進めている。
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