結核菌の多剤耐性化は、薬剤の作用分子をコードする遺伝子上に順次変異が蓄積されて行くことによって生じるが、特定の菌株でより耐性化や耐性菌による二次感染が起こりやすいことが知られている。結核高蔓延国であるミャンマー、ネパール、タイにおいて得られた多剤耐性結核菌株の遺伝子解析を行ったところ、北京型のモダンタイプと呼ばれる系統の割合が薬剤耐性の度合いと共に上昇し、また、イソニアジド耐性に係るKatG315の変異等、特定の遺伝子変異を持つ株が蔓延している傾向にあった。これらの特徴は感染性の高い多剤耐性結核菌を早期に特定するためのマーカーとして使用可能であると考えられ、簡易検出用のPCR法の開発に至った。
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