平成30年度は秋田県内17市町村、岩手県釜石保健所管内、山形県最上保健所管内の市町村の自殺対策に取り組むボランティア1000人を対象にアンケート調査を実施した。518人から回答を得た(回収率51.8%)。ボランティアの11.8%が利用者の自殺を(利用者に限定しないと53.5%で23%が家族親戚)、5.6%が自殺未遂を、そして21.2%が希死念慮の訴えを経験していた。また54.4%が自殺した人のことを、25.5%が自殺をするのではないかと思う人のことを話し合っていた。さらに16.1%が自分たちの活動が地域の自殺を減らすことに役立っていると、45.8%がどちらかといえば役立っていると評価していた。自殺を避ける態度は、地域の人よりも少ないと認識していて、相談先や支援制度についても多くの人が知識を持っていた。これらの結果には地域差もあり、秋田県中央地区で活動しているボランティアは、自殺・自殺未遂した人とのかかわりが多く、秋田県南地区ではうつ病の人や希死念慮を訴える人とのかかわりが多かった。これらの結果からボランティア養成においては、自殺対策を意識するかどうかが活動に大きく影響し、希死念慮への対応方法に関する内容が不可欠であると考えられた。これらの結果からボランティア(ゲートキーパー)養成講座用のスライドを作成し、秋田県が開催した研修会に提供した。地域での連携については、保健師(22.4%)や地域包括ケアセンター(19.3%)、社会福祉協議会(18.3%)が多く、保健師との連携が最もうまくいっていると評価されていた(71.4%)。一方で保健師を対象としてフォーカスグループインタビューでは、保健師はボランティアにできるだけ自立して活動することを希望していた。住民ボランティアは地域の自殺に深くかかっていく可能性を有しているが、保健師など行政の専門職との連携が効果的であることが確認された。
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