研究課題
本研究では、平成24年度から実施している千葉県柏市における大規模高齢者縦断追跡健康調査(柏スタディ)から得られたサルコペニア等にかかる知見をさらに深く掘り下げるべく、①地域在住高齢者における孤食に関する質的研究、②高齢者市民参加型運動教室の効果検証、③残血清を用いたサルコペニアに対するバイオマーカー探索、の3つの研究課題に取り組んだ。孤食に関する質的研究では、家族と同居していながら孤食であった地域高齢者20名への個別インタビュー調査を実施した。インタビューデータを帰納的に分析し、「同居者との不仲」や「生活時間のずれ」等の孤食の原因にかかるカテゴリーを抽出した。さらに、孤食に至る機序に関する分析を行い、加齢に伴って生じる「家族構成」、「心身機能」、「食事にかかる意識・行動」等の変化が影響する可能性を見出した。高齢者市民参加型運動教室の効果検証については、千葉県柏市において実施された運動教室「ロコモフィットかしわ」参加者177名を対象に、事業終了後の自主グループ活動参加の運動・心理・社会指標への効果について検証した。二元配置分散分析により、自主グループ活動参加群は、不参加群に比べ、一年後のソーシャルネットワークや組織参加等の社会性に係る指標が顕著に増加した(交互作用p<0.01)ことを明らかにした。サルコペニアに対するバイオマーカー探索については、柏スタディ参加者303名の残血清データを分析し、テストステロン、DHEA-S、カルニチン等とサルコペニアとの関連について検証した。一元配置分散分析により、男性におけるDHEA-Sとサルコペニアとの関連等を特定した。以上、柏スタディの深掘り研究を展開し、サルコペニア等の予防にかかる基礎レベルから地域レベルまでの知見を得た。本研究の結果は、地域における包括的サルコペニア予防につながる社会的意義の高いものである。
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