2015年・16年のフィリピンにおける薬剤耐性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の流行頻度を9.2%と推定した。この集団において、薬剤未使用者に12ヶ月間治療した後に得た血清・血漿142検体のうち、37株について分離に成功した。この株の増殖能を検討したところ、抹消血液のHIV量と比例したが、試験管内での増殖能が全てについて血漿中より多かった。その増殖能には株による大きな幅があった。このように、内在性のHIVの増殖能は、血漿ウイルス量では判断できない。したがって、内在性ウイルスの増殖能を判定・モニターする意義は大きい。特に耐性ウイルスの出現に伴い薬剤を変更する場合は、この指標に注目する必要がある。
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