研究課題
末期腎不全のみならず心血管病の強力な危険因子である慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)は国民保健,社会経済上の重大な負担である.背景に存在する生活習慣病は本来一次予防が可能な疾患群であるが,その成否は個人を含むさまざまなレベルの行動変容に依るところが大きい.本研究は個人の健康行動や生活習慣修正に関する行動変容ステージモデル(トランスセオレティカルモデル)に着目し,①行動変容ステージとCKD発症進展との関連,②行動変容ステージと生活習慣修正,健診受診,受療等の行動との関連,③行動変容ステージに変化をもたらすことの疾病予防における意義を、個人の経年変化の観察可能な大規模な一般住民の特定健診データセット,CKD患者登録データベースを用いて明らかにすることを目的とする.平成27年度は「①行動変容ステージとCKD発症進展との関連」の検討のため,平成20年度以降の特定健診を連続受診した者のベースラインの行動変容ステージと次年度受診時の1)健診項目(体重,腹囲,BMI,血圧,必須検査項目,血清クレアチニン(eGFR),ヘモグロビン,尿酸)の年間変化量との関連,2)生活習慣病前駆病態(高血圧前症,前糖尿病状態),生活習慣病(高血圧,糖尿病,脂質異常症,肥満,メタボリックシンドローム),およびCKD新規発症との関連の解析,「②行動変容ステージと生活習慣修正,健診受診,受療等の行動との関連」の検討のため,平成20年度以降の特定健診初回受診時の行動変容ステージと次年度の健診受診の有無,次年度連続受診者については5つの生活習慣(喫煙,飲酒,運動,食事,睡眠)の変化との関連の解析を開始した.既存特定健診データベースを用いて関連する諸解析を実施すると共に,上記解析に必要な標準解析ファイルの編集を行った.
3: やや遅れている
延べ約300万件の特定健診データを含む既存の特定健診データベースのデータ点検ならびに解析用の標準解析ファイル(SAF)の作成に想定以上の時間を要し,解析への着手がやや遅れたため.
今後CKD外来通院患者集団のデータベースを用いた検討も進める予定である.
研究プロセスの一部に想定以上の時間を要し,諸経費の予算執行が全体的に後ろ倒しとなったため.
当初の研究計画の内容に沿って着実に研究を進めることにより,予定された予算額を使用する予定である.
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J Atheroscler Thromb
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