研究実績の概要 |
令和3年度は強度近視研究を中心にデータの解析を進め、その結果を国際誌に発表した。3歳から91歳の日本人593,273眼(4歳から88歳男性228,074眼、3歳~91歳女性365,199眼)を対象に5年間の屈折度数の変化を性・年齢階級(10歳未満、10~14、15~19、20~24、25~29、30~34、35~39、40~44、45~49、50~54、55~59、60歳以上の7階級)別に解析した結果、変動量が最も大きかったのは男女ともに10歳未満(男性-2.460±0.059D、女性-2.872±0.056D)であった。その後は加齢とともに変動量が小さくなり、負の変動(近視化)が最も小さかったのは、男女ともに45歳~49歳(男性-0.047±0.006D、女性-0.065±0.004D)であった。一方、50歳以降では、変動量は小さいものの、男女ともに正の変動(遠視化)が確認された。 次に、全対象眼を性・全年齢別に細分化して分析した結果、男女ともに8歳をピーク(男性-2.654±0.048D、女性-3.110±0.038D)に加齢とともに変動量が小さくなり、眼鏡補正の最小値である‐0.25Dを下回ったのは、男性では27歳(‐0.217D±0.006D)、女性では26歳(-0.220D±0.005D)であった。また、14歳以前では女性の方が変動量が大きいのに対し、15歳以降では男性の方が変動量が大きいことが明らかになった。 最後に、全対象眼を年齢・屈折度数階級(-8.75D未満、-6.75~-8.50、-4.75~-6.50、-2.75~-4.50、-0.75~-2.50、-0.50~+0.50、+0.75~+2.50、+2.75D以上の7階級)別に分析した結果、追跡開始時の近視度数が小さいほどその後の変動量が大きくなることが明らかになった。
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