研究課題/領域番号 |
15K08756
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研究機関 | 大阪物療大学 |
研究代表者 |
小縣 裕二 大阪物療大学, 保健医療学部, 教授 (60281127)
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研究分担者 |
山口 功 大阪物療大学, 保健医療学部, 教授 (00401951)
小水 満 大阪物療大学, 保健医療学部, 教授 (50403069)
西浦 素子 大阪物療大学, 保健医療学部, 准教授 (90621798)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CT灌流画像 / DSCT / CDSR法 |
研究実績の概要 |
MDCTは、高速に高精細な三次元再構成画像が得られるため,肺血管性疾患の定量的および定性的診断に役立っている。しかし、例えば肺塞栓の診断において、CT画像では血栓そのものの描出による診断はできるが、シンチグラフィのように病態生理に基づいた診断はできない。しかし、DSCTはエネルギーの異なる2種類のX線で同時に画像形成ができるため、従来のCT値の画像化とは異なる次元での灌流画像を得ることができ血管性疾患の病態生理の解明につながる可能性がある。そこでDSCT画像に対して、大幅に被曝線量を低減する線量指標CT dose indexと我々のこれまでの研究成果であるCDSR法とを組み合わせて用いることで詳細な造影剤の分布を可視化できる灌流画像作成し、その精度と可能性について検証を行っている。 平成27年度は、1.DSCT画像を画像処理装置に転送するネットワークを構築する。2.評価用ファントムを用いて、DSCT画像を収集し解析をおこなう。3.ヨウ素成分の抽出・分離の精度検証をおこなう。4.EIを基にDSCTの撮影条件および画像再構成パラメータの最適化をおこなう。5.CDSR法でヨウ素成分を可視化するプログラムを作成する。6.DSLPを作成するプログラムを作成する。の6つの研究計画をたて、DSLPを作成するシステムの完成を目指し、1.2.についてはほぼ可能になっている。3.4については現在もデータ収集を行っている。5.6については予定より進んでいない状況である。そのため全体として予定より少し遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の計画について、「1.SCT画像を画像処理装置に転送するネットワークを構築する。」は、DICOM画像サーバー経由で画像処理装置に転送すれば形式を変換する必要は無いが、セキュリティーの問題が有るためデータ収集を行う時にだけ接続できるように工夫し、運用できることが確認できている。「2.評価用ファントムを用いて、DSCT画像を収集し解析をおこなう。」については、特注でSCTでさまざまな造影剤濃度とCT値を正確に測定できる評価用ファントムを作成した。 「3.ヨウ素成分の抽出・分離の精度検証をおこなう。」については、特注のファントムを用いて、造影剤のヨウ素濃度とCT値の関係を、DSCTのdual energy imagingを用いて詳細に測定するためのデータ収集をおこなっている。「4.EIを基にDSCTの撮影条件および画像再構成パラメータの最適化をおこなう。」は3.と同時に進めている。 「5.CDSR法でヨウ素成分を可視化するプログラムを作成する。」については4.にパラメータの最適化が遅れているため予定まで進んでいない。「6.DSLPを作成するプログラムを作成する。」1~5までの研究成果を集結し、画像処理装置に最適化された撮影条件で撮影したDSCTの画像データを転送後、CDSR法を応用してヨウ素成分を可視化することによりDSLPを作成する一連のプログラムを完成させる予定であるが予定より少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、27年度の遅れを取り戻しDSLPを作成するシステムを完成させ、臨床で使えるシステムにまで進化させることを目指す。 「1.臨床に必要なDSLP画像の解像度や表示方法について検討する。」ためDSLP画像は支給された研究経費で購入する画像出力装置に出力し、放射線科医による読影者実験をおこない、読影に必要な解像度や表示方法について明らかにする。 「2.臨床画像をリアルタイムで用いて扱えるようにシステムを改良する。」ため、大容量のデータをリアルタイムで扱えるように、専用の画像処理装置を中心としてDSLP画像作成システムを完成させる。構築システムについてアルゴリズムの検証を行い、プログラムの改良を繰り返し、システムを完成させる。 「3.実際に臨床データ入力し、システム全体をチェックする。」ため、実際に複数の患者の大容量臨床画像データ入力し、システム全体をチェックする。 「4.システム全体に改良を加え、本システムをさらに進化させる。」ため1の成果を踏まえて、2および3を繰り返して行うことにより、システム全体を再検討し、アルゴリズム・プログラム・処理方法・各種パラメータに改良を加え、本システムをさらに進化させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を発表するために国際学会に複数演題申し込みを行ったが、採択されなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
積極的に研究成果を報告するために複数の国際学会に演題申し込みを行う
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