システム・ダイナミックスの質的モデルである因果ループ図を用いて、日本人の健康的な食事に寄与する構造的要因を検討した。日本人のヘルスリテラシーや日本の食料品価格の高さなど複数の要因が相互に影響を与えつつ、日本人の肥満者の割合が上昇することを抑制している可能性を示した。本研究の成果について、平成29年11月にオーストラリア・アデレードで開催された第10回アジア太平洋臨床栄養会議に参加し、"Causal loop diagram of structural contributors to the Japanese healthy diet" (日本人の健康的な食事に寄与する構造的要因に関する因果ループ図)というタイトルでポスター発表を行った。 またシステム・ダイナミックスの量的モデルであるストック・フロー図を用いたシミュレーションモデルにより、健康寿命と国民医療費の関連を検討した。高齢者において日常生活動作が自立から非自立に移行する変化率を下げることが死亡率の低下よりケア期間(平均余命と健康寿命の差)の短縮に有効であり、国民医療費の増加を抑制できる可能性を明らかにした。本研究の成果について、平成30年8月にアイスランド・レイキャビクで開催される第36回国際システム・ダイナミックス学会に"A simulation study to shorten a long-term care period and to reduce national medical care expenditure in Japan"(我が国における要介護期間の短縮と国民医療費の削減に関するシミュレーション研究)という演題を提出し採択された。
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