研究課題/領域番号 |
15K08762
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
池田 奈由 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター, 研究員 (20573603)
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研究分担者 |
西 信雄 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター, センター長 (80243228)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国民健康・栄養調査 / 国民栄養調査 / 国民生活基礎調査 / 非協力者バイアス / 統計手法 / 保健統計 / 調査手法 / 非感染性疾患 |
研究実績の概要 |
日本では高齢化が進展し、がんや循環器疾患、糖尿病といった生活習慣病による死亡や後遺症が今後も増大することが予想される。このような疾病が社会にもたらす負担を軽減するためには、国民の健康的な生活を促進し、効果的な介入手段を用いて疾病の予防・治療を行うことが必須である。厚生労働省により毎年実施される国民健康・栄養調査(平成14年まで国民栄養調査)は、生活習慣病の予防と治療に関連する豊富なデータを収集する重要な保健統計調査である。しかし、国民健康・栄養調査(国民栄養調査)の協力率は年々低下傾向にあり、その結果、調査協力者の集団には偏りが生じ、国民全体の特徴を適切に反映したデータが得られていない可能性があることが懸念されている。そこで本研究では、国民健康・栄養調査(国民栄養調査)における協力者集団の特徴を把握した上で、国民の健康行動をはじめとする生活習慣病の要因と管理状況に関するより正確な保健統計情報を作成し提供することを目的とした。 平成27年度の研究においては、まず国民健康・栄養調査(国民栄養調査)における地域ならびに世帯、個人の協力に関する背景と問題点について研究班全体で議論し、研究枠組とアプローチ方法に関する確認を行った。次に、統計法第33条に基づき、国民健康・栄養調査(国民栄養調査)と国民生活基礎調査を含む保健統計調査の調査票情報の提供を厚生労働省に申請し入手した個人レベルのデータを、統計ソフトウェアを用いて読み込んだ。昭和63年~平成25年国民生活基礎調査・世帯票とのレコード・リンケージを行い、国民健康・栄養調査(国民栄養調査)における協力者と非協力者を同定し、世帯と個人の協力率の年次推移を把握した(標本抽出方法が異なる平成24年調査を除く)。協力者集団と非協力者集団の間の特徴の差に関する基礎分析と、非協力者バイアス修正のための統計手法に関する文献レビューを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの利用申請ならびに読み込み、レコード・リンケージに必要な時間を考慮して、妥当な進捗状況である。国民健康・栄養調査(国民栄養調査)における協力者と非協力者を同定し、協力率の年次推移を把握したことから、初年度の進捗としては十分であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
国民健康・栄養調査(国民栄養調査)における非協力者バイアスの有無と修正に関する統計分析手法の構築を進める。さらに、国民健康・栄養調査(国民栄養調査)に関連する他の保健統計調査についても同様の分析を行い、より正しい保健統計情報の作成を試みる。進捗状況と分析結果の展開に応じて、先行研究のレビュー、各種セミナー等への出席、研究者との交流などを通して追加的な情報を収集し、研究に反映させる。分析結果の学会発表ならびに研究者との意見交換、学術雑誌への投稿論文の準備に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席予定の統計分析手法に関するセミナーが次年度4月に開催されることから支出に遅れが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
二年目の研究活動として、非協力バイアス修正のための分析手法の開発のため、統計分析手法に関する複数回のセミナーに出席する。
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