研究課題/領域番号 |
15K08763
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
加藤 友紀 (外山友紀) 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 准教授 (20329650)
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研究分担者 |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, NILS-LSA活用研究室, 室長 (00532243)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血漿アミノ酸濃度 / 骨格筋量 / 地域在住中高年者 / 長期縦断疫学研究 |
研究実績の概要 |
本研究では地域在住中高年男女の長期縦断疫学調査のデータを用いて、アミノ酸摂取が骨格筋量に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。 1.研究成果の具体的内容 平成27年度には「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第1次調査時('97-'00年)の凍結血漿を用いて39種の血漿アミノ酸量分析(株式会社SRLに委託)を行い、各アミノ酸血漿濃度について性・年代別の分布を検討した。また第1次調査時の骨格筋量(正常群/低下群)と血漿アミノ酸濃度の多寡(低群/中群/高群)との関連について、年齢を調整したロジスティック回帰分析で性別に検討した。男女ともイソロイシン、ロイシン、バリン、アラニンの4種において、血漿濃度は格筋量低下と有意な関連を示し、それぞれの低群に対する高群のオッズ比(95%信頼区間)は男性では0.29(0.17-0.50)、0.17(0.09-0.30)、0.17(0.10-0.30)、0.42(0.25-0.70)で、女性では0.35(0.18-0.68)、0.22(0.11-0.45)、0.26(0.13-0.53)、0.41(0.22-0.73)であった。男女ともにイソロイシン、ロイシン、バリン、アラニンの血漿濃度が高いほど骨格筋量低下のリスクは有意に低かった。 また、追跡調査「脳とこころの健康調査」(2016年2月終了)にて身体機能(SF-36、ADL)や筋力(握力、歩行速度)など次年度の縦断解析に必要なデータの測定、収集を行った。 2.研究成果の意義と重要性 本年度の研究で地域在住中高年者において分岐鎖アミノ酸の血中濃度と筋肉量との間に有意な関連を見いだした。このことは「筋肉量維持・増進には分岐鎖アミノ酸摂取が重要である」という従来の知見を血液レベルから実証する知見として重要であり、意義があると考えられる。また、今年度のデータ収集により、アミノ酸摂取が骨格筋量に及ぼす影響について縦断解析を次年度以降行う準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究実施計画では、①追跡調査「脳とこころの健康調査」(2016年2月終了)にて身体機能(SF-36、ADL)や筋力(握力、歩行速度)など解析に必要なデータの測定、収集を行うこと、②第1次調査時の凍結血漿を用いた39種の血漿アミノ酸量分析(株式会社SRLに委託)を行い、一般地域住民の血漿アミノ酸の分布を把握することであった。研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度はアミノ酸摂取量と筋量、筋力、身体機能の経時変化を確認し、それらの変化と血漿アミノ酸量との関連を把握する。また、アミノ酸の筋肉への同化には血中テストステロン濃度やアンドロゲン受容体の遺伝子多型が関与するため、男性ホルモン関連要因(総テストステロン、遊離テストステロン、性ホルモン結合グロブリン、DHEA-Sなど)の血中濃度の経年変化を性・年齢群別に確認し、それぞれの血中濃度が、筋量、筋力、身体機能の経年変化に及ぼす影響について検討する。その結果を基に、血中テストステロン濃度やアンドロゲン受容体の遺伝子の組合せで異なるサルコペニアのリスクごとに層化する。サルコペニア関連要因(筋力、筋量、身体機能)の経年変化や、血漿アミノ酸濃度の特徴を性・年齢群別に抽出する。 平成29年度は、血中テストステロン濃度やアンドロゲン受容体の遺伝子の組合せで異なるサルコペニアのリスクごとのサルコペニア関連要因(筋力、筋量、身体機能)の経年変化や、血漿アミノ酸濃度の特徴を性・年齢群別に抽出する。また、サルコペニアのリスクごとのサルコペニア関連要因(筋力、筋量、身体機能)の経年変化にアミノ酸摂取がどのような影響を及ぼすかを検討する。その結果を基に、内分泌環境や遺伝要因の個人差(リスク)に合わせた日常的に摂取可能なアミノ酸必要量を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画当初、データ整理・解析・結果の集約を効率的に進めるためパソコンやプリンタの購入を計画していた。しかし、勤務先の変更に伴い、解析ソフトSPSSの購入を優先した。また、Windows10へのアップグレードの待機などが生じ、パソコンの購入を見送った。そのため224,913円の繰越金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度内には、パソコン周辺機器のWindows10への整合性を確認し、パソコンを購入する予定である。
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