研究課題
本研究では、遺伝性慢性四肢疼痛発症家系6家系から見出された変異についてKnock inマウスを作製し、その変異モデルマウスでの行動実験、電気生理学的実験により、疼痛発症メカニズムを解明することを目的とした。本年度は変異X2(以下R222S変異として表記)をもつ高齢Knock inマウス(36-38週齢)での疼痛行動解析を行い、若齢(8-10週)と同様、変異マウスでの有意な痛覚過敏を示した。また、行動実験と同週齢の若齢マウス(野生型、X2 knock in mouse)から痛みの伝達経路であるDRGニューロンを単離し、活動電位の性質について、静止膜電位、活動電位発生の閾値、振幅の大きさ、幅、早さ(maximum AP rise/fall)、後脱分極について計測した。その結果、変異型のKnock inマウスにおいて有意に振幅が大きく、後脱分極が過分極側にシフトしていた。また、発火頻度においても変異型のKnock inマウスは有意に増大した。以上のことから、NaV1.9の変異(R222S)によりDRGニューロンが過剰に興奮することで疼痛発生に関与することを示した。
2: おおむね順調に進展している
本年度はKnock inマウスでの行動学的、電気生理学的解析を完了し、その成果を論文として発表したため(Okuda et al., Plos one 2016)。
今後は本研究で見つかった変異についての一般人口でのスクリーニング、および本研究室に問い合わせのあった疼痛患者に対する家族歴等の問診、臨床所見を得るとともに、Nav1.9のp.R222について遺伝子型の判定を行う。
大学経費にて購入してあった試薬を使用することができたため。
次年度については今年度のように大学経費での購入は期待できないため、研究に使用する試薬・器具・容器類については全て本経費にて購入する必要がある。計画にそって次年度経費とあわせ使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Plos one.
巻: - ページ: -
10.1371/journal.pone.0154827
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/160527_1.html