研究課題
1)カルバペネム耐性大腸菌23株について今年度はIncNを領域1から領域16に分割してPCR scanningによるプラスミド解析を行った。その結果、blaIMP-6が存在する領域2および領域3は、blaIMP-6陽性の23株全てにおいて陽性、blaCTX-M-2が存在する領域15は、blaCTX-M-2陽性の21株全てにおいて陽性であった。領域1、領域4、領域15では、サイズの異なる増幅産物が認められた。IncNが検出された株は全て、pKPI-6と同様にblaIMP-6が含まれる領域およびblaCTX-M-2が含まれる領域は陽性であった。2)カルバペネム耐性株44株と感性株42株におけるmexBとoprDの発現量およびoprDの変異に関して比較を行った。その結果、カルバペネム耐性株および感性株のmexB発現量に関してカルバペネム耐性株44株中4株に2倍以上の過剰発現が確認され、一部の株において薬剤排出ポンプの機能亢進が考えられた。また、カルバペネム耐性株においてのみoprD配列の変異が確認され、中でも341ins (C)のoprD発現量はカルバペネム感性株と比較して有意に低下していた (p<0.05)。3)カルバペネマーゼの検出法について、チオール基 (-SH)を持つチオール化合物が MBLの活性中心を阻害するという報告から、チオール化合物としてカプトプリルを用いた。ダブルディスクシナジー法をもとに、薬剤ディスクとしてIPM、MEPM、CAZを用いて、薬剤の一方にのみ1000 μg/mLとなるようにカプトプリル水溶液を含ませ、カルベペネマーゼ産生及び非産生カルバペネム耐性菌、カルバペネム感性菌の105株について検討を行った。その結果、CAZは他の薬剤に比べIMP-1の検出率が良く、MEPMは腸内細菌科細菌が持つIMP-6やNDM-1の検出率が良いことがわかった。
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Jpn J Infect Dis
巻: 70 ページ: 378-382
10.7883/yoken.JJID.2016.234.