研究課題/領域番号 |
15K08776
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鹿嶋 小緒里 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (30581699)
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研究分担者 |
頼藤 貴志 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (00452566)
鈴木 越治 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10627764)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 大気汚染 / 黄砂 / 循環器系疾患 / 呼吸器系疾患 / 救急搬送 / 死亡 / 健康影響 |
研究実績の概要 |
本年度は平成28年度から持ち越された一部作業および次の項目を実施した。 ①解析データ(曝露と健康アウトカム)の入手を実施し、気象庁より入手した気象情報(気温、湿度等)と連結し曝露に関するデータセットの作成は完了した。次に一部健康データと曝露データを連結したデータセットを用いて②黄砂の健康影響に関する解析作業を実施した。また併せて③個人曝露推定モデルの作成と④衛星データの疫学研究への利用に関する検討に関する項目を引き続き実施した。黄砂の健康影響に関する解析作業は、黄砂による健康への影響が個々の特性(疾病の既往歴)によってどのように異なるかに関する知見を、国際誌へ論文として昨年度より投稿を行っていたが、revised作業を経て本年度に論文が掲載された。また、同研究に関連して生物的なメカニズムが異なる男女間の違いを明らかにすべく解析を実施し、得られた知見を、第29回国際環境疫学会年次総会(シドニー)で発表を行い、世界の大気汚染研究者と相互に、アジアの知見について議論した。加えて、「2017年 大気汚染にかかる政策者会議」(2017 Thematic Working Group on Air Quality Meeting, シドニー) へ参加し、黄砂の健康影響評価の発表を行った。加えて世界保機機関西太平洋事務局が主催する「大気汚染に関する協議会」(Member states consultation on addressing health impact of air pollution) でも発表を行った (2017年10月, マニラ)。その他、個人曝露濃度推定モデルの作成及び、衛星が測定したデータ(ひまわり8号など)の、黄砂の健康影響評価研究へ利用できるかについての検討を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に、黄砂の健康影響評価分析を完了する予定であったが、健康影響評価の分析において、研究者間での協議により一部アウトカム指標(死因コード)をより詳細に調査を行うこととなり、死亡データの一部再取得及びデータセットの作成作業を行った。そのため、メイン解析および論文の疾病に関して一部遅延が発生したため、研究期間延長を申請し日本学術振興会より1年間の承諾を得た。延長申請後の研究進捗に関しては、おおむね良好に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、再入手した健康アウトカムデータと曝露データを連結し、新データセットの作成が完了次第、当初の予定であった解析作業を実施する。データセット作成準備が完了しだい、死亡データに関する黄砂の影響評価の解析作業に取り組む。また、あわせて個人曝露予測モデルの作成及び衛星による測定データの利用に関する検討は引き続き実施をする。 ここまでで得られた研究に関する知見の一部を、国際環境疫学学会総会(カナダ)および、アジア支部会(台湾)で発表し、共同研究者と解析結果に基づき、議論を行うと共に、世界の大気汚染研究者と情報交換を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アウトカムデータと曝露データの入手に一部時間を要したため、一部解析作業が平成30年度へ持ち越した。これにより平成29年度購入予定であった、解析のためのソフトとハードウェアの購入を、最新バージョンを解析時に利用するために、平成30年度へ、その購入を持ち越した。 使用計画としては、解析に必要なソフトの購入を予定している。また、解析に必要な打ち合わせを共同研究者および、研究協力者と実施を平成30年度に予定している。
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