| 研究課題/領域番号 |
15K08778
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| 研究機関 | 徳島大学 |
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研究代表者 |
上村 浩一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 准教授 (50346590)
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| 研究分担者 |
釜野 桜子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (00612574)
山口 美輪 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (20721674) [辞退]
有澤 孝吉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (30203384)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 生活習慣病 / 糖尿病 / 慢性炎症 / インスリン抵抗性 / データマイニング |
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| 研究実績の概要 |
日本多施設共同コーホート研究（J-MICC Study）徳島地区の参加者（35～69歳）に対して、がんを含む生活習慣病の発症を調べる追跡調査を、さらに、2011年に実施したベースライン調査への参加者に対して、5年後の生活習慣の変化を調べる第二次調査や出生情報（出生週数や出生時体重など）の調査を遂行しデータ入力も行った。
研究成果としては、データマイニングの一手法を用いて、多くの生活習慣や既往歴、血液生化学値の中から、糖尿病有病状況と関連するパターンを抽出し、そのパターンについて、従来の統計学的手法で再解析したところ、糖尿病家族歴は糖尿病有病の強い関連因子であるが、糖尿病家族歴のない人でも慢性全身性炎症の指標である血中高感度CRP（hs-CRP）値が高いと糖尿病有病者が多いことが明らかとなり、英語論文が海外学術雑誌Scientific Reportsに掲載された。また、同参加者のうち、空腹時血糖・インスリン値を測定した参加者のデータを用いて、体格および慢性炎症とインスリン代謝関連指標との関連を、交互作用を含めて検討した。男女1,074人を対象とし、インスリン抵抗性の指標としてHOMA-IR、膵β細胞のインスリン分泌能の指標としてHOMA-βを算出し、血中hs-CRP値との関連を検討したところ、多変量調整後も、血中hs-CRP値はHOMA-IRと有意な正の量反応関係を認めたが、HOMA-βとは関連を認めなかった。さらに、体格（正常、過体重、肥満）と慢性炎症（血中hs-CRPの中央値により高低）とのHOMA-IR値に対する交互作用が有意であり、日本人において、肥満度が高く慢性炎症が高いと、インスリン抵抗性が相乗的に高くなっていることが観察された。この成果は国内全国学会で発表するとともに、英語論文を海外学術雑誌PLOS ONEに投稿中である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本多施設共同コーホート研究（J-MICC Study）徳島地区の参加者（35～69歳）に対して、がんを含む生活習慣病の発症を調べる追跡調査を遂行するとともに、2011年のベースライン調査への参加者に対して、5年後の生活習慣の変化を調べる第二次調査および出生情報（出生週数や出生時体重、妊娠時の母体合併症の有無など）の調査も遂行し、データ入力も完了した。また、J-MICC Study徳島地区の参加者を対象として、データマイニング手法により、多くの生活習慣や既往歴、血液生化学検査値データの中から、糖尿病有病状況と関連するパターンを抽出し、従来の統計学的手法によっても検討した成果が海外学術雑誌に掲載された。さらに、体格および慢性炎症状態とインスリン代謝関連因子との関連について交互作用を含めて詳細に検討し、日本人において、慢性炎症がインスリン抵抗性と関連していることや、肥満度が高く慢性炎症が高いとインスリン抵抗性が相乗的に高くなっていることなどを明らかにし、その成果を国内学会で発表するとともに、英語論文を海外学術雑誌に投稿し、minor revisionとの返事で、修正版を投稿したところである。
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| 今後の研究の推進方策 |
がんを含む生活習慣病の罹患状況を調べる追跡調査やベースライン調査からの生活習慣の変化を調べる第二次調査、および、出生情報の調査を続けて遂行し、データ入力・管理をおこなう。大量のデータに対して思いがけないパターンを抽出できる可能性のあるデータマイニング手法、および従来の仮説にもとづく統計解析を駆使して、生活習慣病（糖尿病、痛風、心血管疾患等の罹患、骨折の発生など）やその代替指標（インスリン抵抗性、脈派伝播速度、炎症マーカーである血中高感度CRP値など）と生活習慣や出生状況、さらには遺伝要因との関連を交互作用も含めて詳細に検討したい。得られた研究成果については積極的に国内・国際学会で発表するとともに、英語論文を作成し、海外学術雑誌へ投稿するなどして広く社会に還元したい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、疾病の発症やベースライン調査へ参加した協力者に対する5年後の生活習慣の変化および出生情報などのデータの収集や入力・管理、およびデータマイニング手法を含めた解析やその成果を還元するための英語論文の執筆に時間を費やした。データマイニング解析を大々的に行うためのデスクトップPCの購入や冷凍保存している血液成分の測定等を次年度以降とした。
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| 次年度使用額の使用計画 |
疾病の発症を調べる追跡調査や、ベースライン調査5年後の生活習慣の変化を調べる第二次調査や出生情報の調査のための諸費用（印刷費、複写費、通信費など）、データマイニング手法を含めた大規模な解析をおこなうためのデスクトップPCの購入費用や、冷凍保存している血液検体の測定費用などに必要に応じて使用する。研究成果の還元のため英語論文を作成するための英文校正料や海外学術雑誌への掲載料も必要となる。さらに、研究を発展させるために、積極的に情報収集や成果の発表をおこなうための学会参加費・旅費などに使用する。
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