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2016 年度 実施状況報告書

パーキンソン病患者には何故癌の発生が少ないのか?-癌発症予防の基礎的研究-

研究課題

研究課題/領域番号 15K08782
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

福島 哲仁  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90208942)

研究分担者 熊谷 智広  福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20528111)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードパーキンソン病 / 癌 / パラコート / メチルニコチンアミド / 活性酸素 / 癌治療 / 予防法の確立
研究実績の概要

昨年度の実験からパラコート1-5μMの間に、ヘパトーマ細胞が死に、正常細胞が生き残る最も治療効果の高い濃度が存在することが明らかとなった。平成28年度は、この濃度を決定するため、マウスヘパトーマ細胞のセルラインおよびマウス正常肝細胞を用い、パラコート0μM(control)、1μM、2μM、3μM、4μM、5μMの濃度で感受性の差を比較した。ヘパトーマ細胞は、3μM以上の濃度群で、どの日目でもコントロールと比較して細胞数が有意に減少したが、正常肝細胞では、1日目ではどの濃度でも、2日目では3μMまで、7日目では2μM までの濃度群でコントロールと比較して細胞数の減少が見られなかった。この結果、ヘパトーマ細胞が死に、正常細胞が生き残る最も治療効果の高いパラコートの濃度は、2日目までは3μM、7日目では2μMであることがわかった。
さらに、同様の実験系で、パラコートの代わりにニコチンアミドと1-methylnicotinamide(MNA)に対する感受性を比較した。細胞を5%CO2インキュベーターで適宜増殖させた後、プレートの各wellに200μl の培養液にて4,000個の細胞を播種し、培養した。培養を始めて2日後に、各グループ12wellずつ、ニコチンアミド又はMNAの最終濃度が0mM(control)、0.01mM、 0.1mM、1mMになるよう添加し、添加後、1日目、2日目、4日目、7日目に細胞生存率を測定した。ニコチンアミドを添加したヘパトーマ細胞は、どの濃度、どの日目においても細胞数の有意な減少は見られず、正常肝細胞は、1mMの濃度で7日目に減少した。MNAも同様で、ヘパトーマ細胞は細胞数の有意な減少は見られず、正常肝細胞は、1mMの濃度で4日目、7日目に減少した。この結果、ニコチンアミドとMNAについては、治療効果が期待される濃度の設定はできなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヘパトーマ細胞が死に、正常細胞が生き残る最も治療効果の高いパラコートの濃度は、パラコート添加後2日目までは3μM、7日目では2μMであることがわかった。この結果を踏まえ、さらにニコチンアミドとMNAによる実験を実施した結果、この実験系では治療効果が期待される濃度の設定はできないことがわかった。ニコチンアミドとMNAに対する反応が悪いのは、ヘパトーマだけなのか、癌細胞共通なのかは今のところわからない。このため、癌好発マウスを用いてMNAによる癌治療効果を確認するin vivoの実験に進むことを中止し、ヘパトーマ以外の癌細胞について、パラコート、ニコチンアミド及びMNAによる治療効果をさらにin vitroで確認する方が重要と判断した。現在、研究の方向性の修正を行い、平成29年度に向けて実験準備に入っている。

今後の研究の推進方策

癌好発マウスを用いたin vivoの実験をせず、ヘパトーマ以外の癌細胞についても広範囲にパラコート、ニコチンアミド及びMNAによる治療効果を確認する方向に実験を修正したことから、使用する細胞をマウス由来からヒト由来に変更して実験を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度予定していた癌好発マウスを用いたin vivoの実験を中止したため、これに使用する予定であった研究経費の支出をしなかった。平成29年度には、ヒト由来の様々なルーツのがん細胞と正常細胞を用いてパラコート、ニコチンアミド及びMNAによる治療効果を確認する予定であり、このための経費に使用したいと考えている。

次年度使用額の使用計画

ヒト由来の肝、子宮頸部、乳、肺、大腸等、様々なルーツのがん細胞と正常細胞を購入する予定であり、高額の支出が予想される。平成28年度から繰り越した研究費でこれらの細胞の購入費の不足分を補てんしたいと考えている。

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公開日: 2018-01-16  

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