ナノ粒子の有害性が懸念されている中、繊維状のナノ材料の有害性の検討はほとんどなされていない。本研究では、アスベストで有害性の指標である繊維の長さに焦点を当て、繊維径や他の物理化学的条件は同じで、長さの異なる2種類の銀ナノワイヤーを作製し、ラットに対して気管内注入試験を行い、12ヶ月までの長期の影響を調べた。 その結果、肺重量や気管支肺胞洗浄液中の細胞数、好中球数。LDH活性は、長短繊維注入群ともに、注入後3日目に著しく増加したが、その変化は徐々におさまり、その影響は3ヶ月頃までであった。長短の差異については、短繊維注入群の方がその影響は長く続いた。肺の線維化や腫瘍の発生は認められなかった。
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