研究課題
平成28年度は鉱物油に暴露される作業場の研究参加、試料の収集への交渉を行うとともに、血清の免疫学的検査のうち多数の検体での血清自己抗体スクリーニングのシステムを確立することに重点を置いた。自己抗体スクリーニングの条件の基礎的検討を行い、鉱物油暴露群の対象となるコントロール群(鉱物油暴露のない職場で作業する労働者)で試験的に測定を行った。1) 蛍光抗体法による抗核抗体の測定 : HEp-2細胞スライドを用いて80倍希釈血清でスクリーニングを行った。オールインワン蛍光顕微鏡で観察、写真撮影し、蛍光染色の有無、パターン、強さを記録するシステムを作成した。多数検体のスクリーニングを行い、同一の条件で強陽性から陰性までの試料のスクリーニング、判定を行うための条件を検討した。2) 免疫沈降法による各種自己抗体の検出 : 患者血清中の特異自己抗体の蛋白成分は35S-メチオニン標識K562細胞抽出物を用いた免疫沈降法で検出する。このシステムでコントロール群血清を用いて試験を行った。各種の自己抗体の同定は1)免疫沈降法のみで同定可能なもの、2)免疫沈降法で陽性が疑われた場合に酵素免疫測定法(ELISA)で確認するもの、3)免疫沈降法で陽性が疑われた場合に、免疫沈降―ウエスタンブロット法で確認するもの、の3群にわけることとした。3) ELISA : 抗Ro52, Ro60, CENP-A, CENP-B, DFS70に加え、特発性間質性肺炎および間質性肺炎を伴う多発性筋炎/皮膚筋炎に特異的に検出され、鉱物油曝露に伴う慢性の肺の炎症でも検出される可能性のある、抗Jo-1、PL-7、PL-12、EJ、KSのELISAの条件を検討した。各抗体の半定量のための希釈曲線を作成する標準血清は、自己免疫疾患患者血清のスクリーニングから選択し、一部はさらに高力価の血清に置き換えた。
4: 遅れている
現在、中心になって実験しているのは平成27年度に新しく採用された実験助手である。実験手技の基本から教育、トレーニングを行い、各種自己抗体の測定の基本的手技については習熟し独立して実施可能となっている。1) 35S-メチオニン標識細胞を用いた免疫沈降法による各種自己抗体蛋白成分の分析、2)尿素PAGE, 銀染色を用いた自己抗体免疫沈降物RNA成分の分析、3) 酵素免疫測定法(ELISA)、に関しては、手技に習熟しスクリーニングが可能である。非標識細胞を用いた免疫沈降―ウエスタンブロット法に関しても、数回施行し、実施可能である。鉱物油暴露と関係しない職場の血清試料は収集されているが、鉱物油暴露の職場の研究参加への交渉、試料の収集は、研究参加への同意取得が予想以上に難航している。少なくとも一施設は今夏に試料の収集が可能になりそうな状況である。鉱物油暴露作業現場における環境測定、労働環境における鉱物油の検出、定量、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を用いた各施設で実際に使用している鉱物油成分の分析に関しては、まだ準備段階である。I-IFN誘導遺伝子発現の分析に関しては、時間、労力、予算などの制限があり、まだ検討が進んでいない。
鉱物油暴露の作業場の研究参加への交渉が難航しているが、引き続き努力を続ける。当初、研究への参加に好意的で、同意されると考えられた作業場でも、最終的な合意に至らなかった作業場があり、新たに別の会社とも交渉を進めていく予定である。鉱物油暴露作業現場における環境測定、労働環境における鉱物油の検出、定量、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を用いた各施設で実際に使用している鉱物油成分の分析に関しては、施設の研究参加の同意が得られ次第、今年度中に開始する。各種自己抗体検査について、引き続き実験助手の教育を行い、全ての自己抗体検査のスクリーニングをさらに信頼性をもって行える状況としていく。
鉱物油暴露と関係しない職場の血清試料は収集されているが、鉱物油暴露の職場の研究参加への交渉、試料の収集は、研究参加への同意取得が予想以上に難航している。従って鉱物油暴露作業現場における環境測定、労働環境における鉱物油の検出、定量、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を用いた各施設で実際に使用している鉱物油成分の分析に関しては、まだ準備段階である。I-IFN誘導遺伝子発現の分析に関しては、時間、労力、予算などの制限があり、まだ検討が進んでいない。
鉱物油暴露の作業場の研究参加への交渉が難航しているが、引き続き努力を続ける。当初、研究への参加に好意的で、同意されると考えられた作業場でも、最終的な合意に至らなかった作業場があり、新たに別の会社とも交渉を進めていく予定である。鉱物油暴露作業現場における環境測定、労働環境における鉱物油の検出、定量、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を用いた各施設で実際に使用している鉱物油成分の分析に関しては、施設の研究参加の同意が得られ次第、今年度中に開始する。研究は予定より遅れているが、今年度は遅れを取り戻して研究を進めることができると考える。
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