研究実績の概要 |
外的妥当性の評価のため、HERPACCに2005-13年の参加者を対象とした症例対照研究を実施した(胃がん患者678例、性と年齢を適合させた678例の非がん患者)。 平成27年度に実施した症例対照研究で、胃がんリスクと関連のあった、喫煙、野菜果物摂取、ピロリ菌感染の指標であるピロリ菌抗体と胃粘膜萎縮の指標であるペプリノーゲンI/II比で定義されるABCD分類、GWASで同定されたPSCA遺伝子多型の影響について、外的妥当性を評価した。胃がんリスクとの関連は、交絡の可能性のある要因で調整した条件付きロジスティック解析によるオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)で評価した。喫煙[非喫煙に対する現在喫煙のOR: 1.79 (95%CI,1.31 - 2.45)]、野菜果物摂取[野菜果物摂取高摂取に対する低摂取のOR: 1.42 (1.06 - 1.89)]、ABCD分類[A群に対するB, C, D群のOR: 4.11 (2.93 - 5.78), 6.05 (4.20 - 8.70), 13.8 (6.76 - 28.1)]と再現されたが、PSCA多型[OR(per allele): 1.14(0.94-1.39)]において再現されなかった。次に2症例対照研究それぞれにおいて、これらの4因子でリスク予測モデルを構築し、ROC解析によるAUCにて予測精度を評価した。AUCはそれぞれ、0.78 (0.76 - 0.80)と0.80 (0.77 - 0.82)で、喫煙、野菜果物摂取、ABCD分類でのリスク予測よりも、PSCA遺伝子多型を加えることで、リスク予測精度は統計学的有意に上がっていた。 遺伝的要因を加味することでリスク予測精度が上がることが分かったので、既報のGWAS研究で同定された10個の胃がん感受性遺伝子多型をリスク予測モデルに加え、精度を評価する予定である。
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