研究課題/領域番号 |
15K08799
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中山 雅晴 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40375085)
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研究分担者 |
石井 正 東北大学, 大学病院, 教授 (00650657)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域保健 / アルゴリズム / 災害医療 / 社会医学 |
研究実績の概要 |
災害下において地域住民は避難生活を余儀なくされ、大規模化・長期化により様々な医療・保健衛生ニーズが発生する。東日本大震災における経験から、避難所のアセスメントを網羅的に行い、適切にコーディネートすることが被災住民の健康状態を維持し、感染症を始めとする疾患の蔓延を防ぐことが明らかとなった。しかしながら、管理すべき項目内容や評価、およびその対処方法に関して未だ定まった見解はない。本研究では避難所アセスメントにおける評価項目の検討及び、それに際した災害医療コーディネーターがどう優先判断をつけるべきかというマネジメントアルゴリズムを確立し、最終的にアプリケーションツールを開発することを目的とする。 平成27年度の実施内容 石巻で実際に用いられた避難所アセスメントやその対処に関する記録をもとに、アセスメントアプリケーションツールからデータ入力を行った。2011年3月13日から9月30日まで、個人宅含め389箇所から計4265件の避難所データが蓄積された。実際のデータを見てみると、日毎の連続性は予想よりも保たれておらず、むしろ不連続なデータが多いという事実が判明した。従って、時系列評価には補完が必要であり、その上で日毎の避難所比較が可能となることが明らかになった。いくつかの方法により例を示し、実際に東日本大震災で避難所アセスメントにあたった担当者と、どの補完がより実感に近いかを検討してもらいながら進めている。また、避難所アセスメントの評価項目は、現在標準化が進められてほぼ確立してきたが、当時の紙媒体では項目や表現方法にばらつきがあるため、その差異を吸収する作業も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ平成27年度の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度以降の計画としては、以下の項目を予定している。 ・サーバーを介してデータ解析し、ブラウザで動く管理アプリケーションとしてプログラムを完成させる。 ・作成したプログラムを実際に研修で用いてもらい、コーディネーターの初心者と経験者での差異が描出されるか検討する。 ・上記により本研究のアルゴリズムの妥当性を災害医療スペシャリストとともに検討する。ここまでのところでアルゴリズムの妥当性に疑義が生じた場合に備えて、アプリケーションはパラメーターやその組み合わせなどをマスタ設定で変更できるように設計しておく。 ・アルゴリズムが確立した際、そもそも根拠となっている管理項目や評価について吟味する。 ・災害は様々な種類があるため、本アセスメントにおいてどれくらい普遍性があるかを検討し、適宜不足分を補いながら発展させる。
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