研究課題
2015年度は、2011年に完成した糖尿病発症データベースを用いて、出生時体重及び糖尿病の家族歴と糖尿病発症との関連を検討した。このデータベースは2002年(ベースライン調査)、2004年、2007年、2011年に行った病歴調査の結果と2002年以降の健診における血糖値をもとに作成したものである。糖尿病発症年は、4度の病歴調査において聴取した糖尿病の発症年齢と2002年以降の健診において血糖値が126g/dl以上に初めて達した年齢のうち最も早いものとした。出生時体重と糖尿病発症リスクとの関連をコックスの比例ハザードモデルを用いて検討した。追跡期間は、糖尿病発症者は発症年齢、非発症者は2002年以降の最終生存確認日における年齢とした。解析対象者は3274名(平均年齢±標準偏差:46.4±7.1歳)(男性2441名、女性833名)であった。出生時体重4群と糖尿病の家族歴の有無を組み合わせ8群を作成した。出生時体重2500g以上3000g未満かつ家族歴無群を基準とした性別を調整したハザード比(95%信頼区間)は、出生時体重2500g未満かつ家族歴無群は1.23(0.79-1.94)、出生時体重2500g未満かつ家族歴有群は3.22(1.92-5.41)、出生時体重2500g以上3000g未満かつ家族歴有群は2.45(1.81-3.30)、出生時体重3000g以上3500g未満かつ家族歴無群は0.70(0.53-0.92)、出生時体重3000g以上3500g未満かつ家族歴有群は2.19(1.49-3.22)、出生時体重3500g以上かつ家族歴無群は1.18(0.77-1.81)、出生時体重3500g以上かつ家族歴有群は2.83(1.46-5.38)であった。ハザード比は出生時体重が2500g未満かつ糖尿病の家族歴を有する群と出生時体重3500g以上かつ家族歴有群が高かった。
2: おおむね順調に進展している
平成15年度に検討した出生時体重と糖尿病の家族歴の糖尿病発症に対する影響は、現在推進されている健やか親子21(第二次)に目標として掲げられている「低出生体重児の減少」の根拠となる結果である。また、出生時体重と遺伝子多型から糖尿病発症を検討するという研究課題に対しては、保存した試料からDNAを抽出中である。
糖尿病に加えて心血管事故の把握にも努めており、データベースに入力済みである。今後さらに出生時体重及び生活習慣の糖尿病や心血管事故発症に対する影響を前向きな解析によって検討していく。
保存試料よりDNA抽出を進めているが、その進行状況に合わせて物品を購入したため差額が生じた。また、データベースの解析状況の進行具合により、2015年度は統計ソフト、パソコン等の購入など研究環境整備に向けた支出を行わなかった。
DNA抽出に掛かる費用と研究環境整備に向けた支出を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
J Epidemiol.
巻: 25 ページ: 351-358
Prev Med.
巻: 81 ページ: 49-53
10.1016/j.ypmed.2015.07.021