研究課題/領域番号 |
15K08802
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
玉腰 浩司 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30262900)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 出生時体重 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
2016年度は、2011年に完成した糖尿病発症データベースを用いて、出生時体重及び20歳から40歳までの体重変化(以下体重変化)と糖尿病発症との関連を検討した。このデータベースは2002年(ベースライン調査)、2004年、2007年、2011年に行った病歴調査の結果と2002年以降の健診における血糖値をもとに作成したものである。糖尿病発症年は、4度の病歴調査において聴取した糖尿病の発症年齢と2002年以降の健診において血糖値が126g/dl以上に初めて達した年齢のうち最も早いものとした。出生時体重及び20歳から40歳までの体重変化と糖尿病発症リスクとの関連をコックスの比例ハザードモデルを用いて検討した。対象者は2002年次に40歳以上の2472名(平均年齢±標準偏差:48.8±5.8歳)(男性1881名、女性591名)追跡期間は、糖尿病発症者は登録時からの年数、非発症者は2002年以降の最終生存確認日における年齢とした。出生時体重4群(2500g未満、2500g以上3000g未満、3000g以上3500g未満、3500g以上)と体重変化4分位(昇順にQ1、Q2、Q3、Q4)を組み合わせて16群を作成した。出生時体重2500g以上3000g未満かつQ1群を基準とした年齢と性別を調整したハザード比(95%信頼区間)は、出生時体重2500g未満かつQ4群で3.70(1.93-7.08)と最も高いハザード比を示した。次いで2500g以上3000g未満かつQ4群が2.56(1.55-4.23)と高かった。出生体重が低く、かつ20歳以降の体重増加が大きい者程40歳以降の糖尿病発症リスクが高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度に検討した出生時体重及び20歳から40歳までの体重変化と糖尿病発症との関連は、現在推進されている健やか親子21(第二次)に目標として掲げられている「低出生体重児の減少」の根拠となる結果である。また、出生時体重と遺伝子多型から糖尿病発症を検討する課題については、保存した試料からDNAを抽出中である。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病に加えて心血管事故に対する出生時体重及び生活習慣・体格変化等の影響を前向きな解析によってさらに検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
保存試料のDNA分析を進めているが、その進行状況に合わせて物品を購入したため差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
DNA抽出に掛かる費用と統計ソフトやパソコン等の研究環境整備に向けた支出に充てる予定である。
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