研究課題/領域番号 |
15K08803
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
越田 繁樹 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (70372547)
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研究分担者 |
高橋 健太郎 滋賀医科大学, 医学部, 特任教授 (20163256)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胎動 / 死産 / 地域医療 / 周産期死亡 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域における胎動カウントの普及および啓発活動により、死産を減少させることを目的とし、地域に暮らす妊婦が安心して分娩に臨めるよう支援するための医学的調査・研究である。具体的に本研究では胎動カウントが有する潜在的な周産期死亡率減少効果を明らかにすることを目指している。 平成27年度は胎動カウント普及に向けて域内保健所や中核病院に直接出向し、死産と胎動の関連性や胎動カウント普及が死産を減少させる可能性について説明を行い医療関係者に胎動カウント普及に関して啓発を行った。さらに胎動カウントチャートおよび啓発ポスターを作成し域内の分娩取り扱い施設へ配布し、本研究への協力を依頼した。その効果として胎動カウントに関心を持ち自施設で胎動カウントを施行する医療機関が増加しつつあり、現在までに県内の分娩取り扱い施設36施設のうち24施設(67%)が胎動カウントを施行するに至った。分娩後の胎動カウントチャート817例を回収し、在胎週数毎の胎動カウント時間についてその散布度合いを解析中である。 また、本研究の一環として行っている周産期死亡症例検討会にて2013年における県内死産症例45件を詳細に検討した結果、胎動減少・消失を自覚した死産例は19件(42%)で、胎動異常自覚後24時間以内に医療機関を受診したのは2件(11%)のみであった。この結果は本研究施行前のデータとして今後の研究結果を評価する上で有用な比較対象となりうるため、来年以降も周産期死亡症例検討を行う方針である。それらの解析結果により、胎動カウントの普及により、妊婦の胎動異常自覚後の速やかな受診が促進されその結果として周産期死亡が減少する効果がある程度明らかになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は胎動カウント普及および胎動カウントチャート作成・配布の計画をたてたが両者とも順調に進展している。 胎動カウント普及については、胎動カウント啓発活動により胎動カウント実施する施設が増加傾向にあるため順調に進捗していると判断する。 胎動カウントチャート作成・配布については、啓発ポスターを作成し胎動カウントチャートと合わせてを各医療機関へ配布できたことから順調に進捗していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
胎動カウント啓発活動により胎動カウント実施する施設が増加しているが、県全体の1/3がまだ胎動カウントを実施していない。今後胎動カウント未実施医療機関を中心にさらに啓発活動を行い、胎動カウント参加施設数を増加させる方針である。 2016年度は予定通りに分娩後の胎動カウントチャートの回収および解析を行う計画である。 また死産症例検討会での死産症例解析結果は本研究の成果を具体的に反映するものとなりうるため今後も本研究と並行して県内死産症例の詳細な解析を行う方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
より効率的に使用するため、今年度の残額を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の計画に基づき、効率的に使用する。
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