研究課題
研究目的:早期動脈硬化と慢性腎臓病との関連について、CIRCSコホート集団を用いて横断解析を行った。研究方法:秋田県井川町と大阪府八尾市M地区の2013年から2016年の循環器健診受診者のうち対象地域における40~79歳の男女844人を対象に、非侵襲的な早期動脈硬化の指標である血流依存性血管拡張反応(FMD検査)を実施した。FMD値を用いて血管内皮機能障害を評価した。血清クレアチニンとを用いて、推算糸球体濾過量(eGFR)を計算し、eGFR<60を用いて慢性腎臓病と評価した。解析において、FMD値を3分位にし、最低3分位群(FMD値は5.6未満)、中間3分位群(FMD値は5.6~7.8)、最高3分位群(FMD値は7.9以上)とした。解析において、最高3分位群を基準にし、中間3分位群と最低3分位群の慢性腎臓病の多変量調整したオッズ比を算出した。交絡因子として年齢、性別、肥満度、喫煙・飲酒状況、血清総コレステロール値、HDL-コレステロール値、中性脂肪、収縮期血圧、降圧剤服薬有無、糖尿病の有無を調整した。研究結果、FMD値の最高3分位群と比較して、FMD値の中間3分位群と最低3分位群での多変量調整した慢性腎臓病のオッズ比(95%信頼区間)は、それぞれに1.4(0.6-3.6)と2.1(0.9-5.1)であり、トレンドp値は0.08であった。結論:本研究により、早期動脈硬化による血管内皮機能障害と慢性腎臓病と関連する可能性を示した。
すべて 2017
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Atherosclerosis
巻: 263 ページ: 244-248
doi: 10.1016/j.atherosclerosis.2017.06.918. Epub 2017 Jun 22.