研究課題/領域番号 |
15K08806
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今野 弘規 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90450923)
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研究分担者 |
平田 健一 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20283880)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20375504)
岡田 武夫 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, その他 (70450921)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血清トランス脂肪酸 / 横断研究 / ドック受診者 / エライジン酸 / リノエライジン酸 / 食品中トランス脂肪酸 |
研究実績の概要 |
本研究は、血清トランス脂肪酸(TFA)濃度をガスクロマトグラフ質量分析計による高い精度で測定し、地域住民における冠動脈疾患発症との関連についての前向き研究、および循環器ドック受診者における栄養摂取状況、冠動脈・頸動脈の動脈硬化所見との関連についての横断研究を実施し、血清TFA濃度の冠動脈疾患リスクへの影響を明らかにすることを目的とする。 本年度は、昨年度の239人に加え、631人の循環器ドック受診者の血清TFA測定を行い、計870人(男性379人、女性491人)の測定を完了した。年齢は、29~89歳、平均年齢60.4(標準偏差11.5)歳、血清TFA構成割合は、範囲0.0554-0.4499%、中央値0.1232%、平均値0.1328(0.0442)%、その内、エライジン酸C18:1(9-trans)は、範囲0.0491-0.4410%、中央値0.1161%、平均値0.1257(0.0438)%、リノエライジン酸C18:2(9,12-trans)は、範囲0.0027-0.0530%、中央値0.0066%、平均値0.0071(0.0033)%であった。男女別では、血清TFA、エライジン酸の各構成割合の年齢調整平均値はいずれも女性の方が有意に高く(各p=0.0015)、リノエライジン酸には男女差が認められなかった。また、血清TFA、エライジン酸の各構成割合の性・年齢調整平均値は、肥満群が非肥満群より有意に高く、現在飲酒習慣がある群が無い群より有意に低く、リノエライジン酸についてはいずれも両群間で有意な差は無かった。高血圧、糖尿病、高LDLコレステロール血症、現在の喫煙習慣の有無別の検討ではいずれも両群間で有意な差は認められなかった。 さらに、食品中のトランス脂肪酸に関する国内外の文献を元に、食品ごとのトランス脂肪酸含有量を調査し、独自のTFA食品成分表の開発を行い、循環器ドック受診者における半定量的食事摂取頻度調査結果に基づくTFA摂取量算出に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、コホート内症例対照研究として、2001年以降の冠動脈疾患発症者と、地域・性・年齢を1:2でマッチさせた非発症者を選出し、症例約50人とその対照約100人、合計約150人の血清TFAの測定も行う予定であったが、本年度は測定に至らなかった。 しかしながら、循環器ドック受診者の凍結血清の選び出しと測定は順調に進み、2年目までの予定の200人を大幅に上回る870人について血清TFAの測定を完了した。 さらに、半定量的食事摂取頻度調査の結果からTFA摂取量を算出するための食品成分表開発のため、食品中TFA含有量に関する文献の収集、調査により独自のTFA食品成分表の開発を行い、循環器ドック受診者における半定量的食事摂取頻度調査結果に基づくTFA摂取量算出に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、コホート内症例対照研究における血清TFA測定に向けたマッチング作業、検体選定作業を進めると共に、循環器ドック受診者の血清TFAと健診所見との関連の解析を進め、メタボリックシンドローム、CT検査による冠動脈石灰化スコア、頸動脈超音波検査による内膜・中膜複合体厚に関するデータとの関連を分析する。 また、TFA食品成分表の開発を行い、循環器ドック受診者における半定量的食事摂取頻度調査結果に基づくTFA摂取量の算出を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なった。
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次年度使用額の使用計画 |
データ収集及び解析費用として充当する。
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