研究課題/領域番号 |
15K08813
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
赤羽 学 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (40326327)
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研究分担者 |
田中 康仁 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30316070)
城戸 顕 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70382306)
石田 由佳子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70759802)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 要介護者数 / 看護師 / 需要推計 |
研究実績の概要 |
H27年度研究として、奈良県におけるH23年度の高齢者数と入院患者数、地域別将来推計人口から、今後の奈良県における高齢者の入院患者数を推計した。同年度の要介護認定者数を基準として、今後の病院および介護施設への入院あるいは入所需要を推計し、従事する看護師の需要を推測した。 奈良県における高齢者の入院需要は、H42年までに約5,000人増加し、生産年齢人口の減少による高齢者への病床の移行を考慮しても3,960床の入院需要が生じると試算された。入院前の場所ごとに患者数を推計した場合、H48年には他病院・診療所での入院および施設入所の需要が約500人増加すると試算され、少なくとも7施設の増設と70人の看護師が必要である。仮に入院前に通院および在宅で医療を受けている高齢者が施設入所で医療を継続した場合、最大53施設の増設と530人の看護師が必要である。増設されず、訪問看護サービスを利用する場合は630人の看護師が必要となり、施設増設よりさらに100人の増員が必要と推計された。H23年末の介護保険施設の介護度1~2の入所者は約2,150人であり、こうした介護度が軽度の利用者を施設から在宅へ移行し入院需要に対応しても、1,800人は通院または在宅で医療を継続することになる。また、H48年には要介護認定者も約19,220人増加すると推計され、介護保険施設と在宅訪問看護サービスの需要がさらに増加する。 当該年度の研究成果として、看護師の需要に大きな影響を及ぼす可能性が示唆された。地域ごとに高齢化の状況が異なり、地域が有する社会資源も異なることから、今後は各地域の状況を細かく分析するとともに、他の医療従事者(理学療法士等)への影響も分析する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度に予定していた看護師需要の推計を行うことができた。奈良県における高齢者の入院需要を推計し、介護需要と組み合わせて施設入所の需要推計も合わせて実施し、その結果を和文論文として公表することができたため、現在までの進捗状況はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度に、入院需要の推計と看護師需要の推計を実施したため、今年度は他のコメディカル(理学療法士等)の需要を推計する。また転倒リスクを分析するため、ロコモーティブシンドロームを中心としたアンケート調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度にアンケート調査を予定している。調査項目数を増やし、精度の高い結果が得られるようにするためには調査対象者数をできるだけ増やす必要がある。初年度の研究費の一部を2年目の研究費に統合して、できるだけ規模の大きい調査を実施しようと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
インターネットを利用してアンケート調査を実施する予定である。ロコモーティブシンドロームを中心として、転倒リスクの自己評価の有用性を調査するとともに、介護や在宅医療に関わる医療従事者の離職に関する調査を実施する予定である。
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