研究実績の概要 |
奈良県における2011年度の高齢者数と入院患者数、地域別将来推計人口から、今後の奈良県における高齢者の入院患者数を推計した。同年度の要介護認定者数を基準として、入院あるいは介護施設入所需要を推計し、従事する看護師の需要を推測したところ、高齢者の入院需要は、2040年までに約5,000人増加し、生産年齢人口の減少による高齢者への病床の移行を考慮しても3,960床の入院需要が生じると試算された。2046年には他病院・診療所での入院・施設入所の需要が約500人増加すると試算され、少なくとも7施設の増設と70人の看護師が必要である。仮に入院前に通院・在宅で医療を受けている高齢者が施設入所で医療を継続した場合、最大53施設の増設と530人の看護師が必要である。増設されず、訪問看護サービスを利用する場合は630人の看護師が必要となり、施設増設よりさらに100人の増員が必要と推計された。2011年末の介護保険施設の介護度1~2の入所者は約2,150人であり、こうした介護度が軽度の利用者を施設から在宅へ移行し入院需要に対応しても、1,800人は通院や在宅で医療を継続することになる。2046年には要介護認定者も約19,220人増加すると推計され、介護保険施設と在宅訪問看護サービスの需要がさらに増加する。同様に、今後の病院、介護施設におけるリハビリテーション需要を推計し、理学療法士の需要を推測したところ、病院における理学療法士の需要は今後100人増加すると推測された。奈良県では今後病床数が1000床以上削減される方針のため、最大で約4000床分の介護施設入所や在宅医療の需要が発生すると予測される。すべてを介護施設の増設で対応すると仮定すると、約80施設の増設と160人の理学療法士の増員が必要となる。病院における必要数と合わせると、最大で260人の理学療法士の需要が発生すると試算された。
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