| 研究課題/領域番号 |
15K08815
|
|---|
| 研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
|---|
研究代表者 |
北野 尚美 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40316097)
|
|---|
| 研究分担者 |
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80196865)
西尾 信宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00278631) [辞退]
垣本 信幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90614412)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
| キーワード | 川崎病 / 疫学 / 観察研究 / 環境要因 / 宿主要因 |
|---|
| 研究実績の概要 |
川崎病の疾患概念が提唱されて５０年を経て、発症に関わる要因で予防のための介入可能性のある因子はみつかっていない。一方で、全国疫学調査によって、年間新規報告数増加と罹患率上昇が明らかとなっている。研究の全体の目標は、川崎病発症の予防によって、将来の心血管イベントのハイリスク集団を縮小することで、本研究では、発症に関わった可能性のある環境因子について究明することを目的としている。研究者らがこれまでに実施した川崎病疫学研究は、和歌山川崎病研究会による新規症例調査によって収集された情報に基づき、和歌山県内で川崎病の診療を実施している病院小児科を対象とした悉皆性のある調査によるデータである。今年度、２０１６年９月までに収集された約１８００例のデータについて疫学的検討を行った結果、性別と川崎病発症時年齢との関連について新たな知見を得ることができた。川崎病罹患者の男女比は1.3程度とされているが、本研究では、年齢層によって男女比が異なることを明らかとした。すなわち、より低年齢層で男児の割合がより高いことを明らかとした。初診時に川崎病を疑うに当たって、性別と年齢を併せた検討が有益であることを示唆する結果と考える。また、年齢層と川崎病発症の時期についても意義があると考える関連を見出した。これら研究結果から、川崎病発症に関わる促進因子や抑制因子を調べるにあたっては、年齢と性別の双方を考慮した解析モデルが必要である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
それぞれの地域で時間外・救急診療の体制には余裕がないため、川崎病症例の生体試料を時機を外さずに収集する体制を整えることが難しい状況にある。その理由として、初診の段階で川崎病またはその疑いの診断が得られる場合が少ないこと、初発症状が発熱で初診時に抗生物質が処方されている症例がかなり多いこと、診断と治療開始が時間外受診であった症例がかなり多いことなどが挙げられた。同様の理由で、対照群の選定や研究同意を得るための説明が出来る状況を確保するにも難しさがある状況である。
|
| 今後の研究の推進方策 |
本課題のこれまでの研究結果から、川崎病を発症した時期（季節）によって、発症に関わった感染性因子などの環境要因は異なっており、宿主の年齢と性別が修飾因子であると仮説を立てている。今後は、発症に関わる環境要因について調べる目的で、川崎病発症までの1か月間程度について、本人とその同居家族の健康状況と生活環境の情報を面接法によって調査する。発症に関わった可能性のある感染性因子の情報を得る目的で、研究実施体制を整えることが出来た大学附属病院等の入院症例の協力を得て、生体試料の採取を予定している。今年度の研究結果を踏まえ、発症時年齢と性別を考慮した解析モデルによって、川崎病の発症促進因子と抑制因子を調べる。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
生体試料の採取と保管・管理のための使用などを予定していたところ、それら調査について慎重な検討と実施体制の調整が必要であった結果、調査に充当する資金など次年度使用額が生じた。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
発症に関わる環境要因について調べる目的で、川崎病発症までの1か月間程度について、本人とその同居家族の健康状況と生活環境の情報を面接法によって調査する。発症に関わった可能性のある感染性因子の情報を得る目的で、生体試料の採取と保管及び検査への使用を予定している。
|
