研究課題/領域番号 |
15K08819
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
田中 秀宜 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (90733585)
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研究分担者 |
鈴木 誠 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80554302) [辞退]
福田 倫也 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80291649)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症 / 行動練習 / 予後予測 |
研究実績の概要 |
本研究は、認知症を発症した患者に対する社会的報酬および課題難易度を統制した行動練習の効果を明らかにすることを目的として実施されている.本年度は、特に社会的報酬と課題難易度の最適化を行った行動練習プロトコルを継続的に実施した症例に対して適用できる予後予測法の開発に取り組んだ(Watanabe, et al 2016). 本年度は認知症を発症した患者の認知機能,行動の自立度などの予後を予測するために,2つのグループを対象に,対数モデルと線形モデルの差に関する縦断的研究を実施した. 第1グループでは,認知機能,行動の自立と障害における時系列的変化を特定するために,Mini-Mental State Examination(以下,MMSE),機能的自立度評価表(以下,FIM),Dementia Behavior Disturbance Scale(以下,DBDS)の評価を,初回評価(1回目評価),その後3ヵ月(2回目評価),6ヵ月(3回目評価)で評価を実施した. 第2グループでは,認知機能,行動の自立や障害の個々の変化の予測が正確であったことを確認するため,それぞれ初回評価(1回目評価),その後3ヵ月(2回目評価),9ヵ月(3回目評価),12ヵ月(4回目評価)で評価を実施した. 結果より,対数モデルでは,MMSE,FIM,DBDSの得点および個々の認知症患者の認知機能,行動の自立や障害の程度から,その後の得点の増加,維持,悪化を正確に予測することができた.このことから対数モデルは,認知症を呈する患者の認知機能,行動の自立度や障害の変化に関する予後予測への有用性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度末,主に研究協力施設と各種調整を行なっていた共同研究者の急な退職に伴い,当初予定していた研究協力施設におけるデータ収集が著しく困難となった.現在は研究対象者の規模縮小を余儀なくされているが,新たな研究協力施設を探しているところである. 研究対象者が当初の予想よりも少数となってしまったため,研究の規模が縮小傾向であり予算の執行額は予定されていたものより少額となっているが,論文(Predicting cognitive and behavioral functions in patients with dementia: Practical prognostic models of logarithmic and linear regression:Edorium J Disabil Rehabil 2016)も採択されており,次年度に向けて,引き続き研究計画通りに調査を進めて行きたいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き本研究にご協力いただける施設を探しつつ,可能な限り研究を前に進めていきたい.今後,新規に研究にご協力いただける施設があれば,必要機器の手配などを行いたいと考えている. 平成29年度は今まで得られた知見を元に,予定通り研修会の開催などの実施を計画している.研修会に参加していただく作業療法士や理学療法士のニーズや意見を集約することで,認知症患者に対する効果的なプログラムについて分析していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者の急な退職に伴い,当初予定していた研究協力施設でのデータ収集が著しく困難となり,研究の規模が縮小傾向となってしまったため,必要購入物品や交通費などの経費が予定されていたものより少額となった.
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次年度使用額の使用計画 |
研究対象者の増加に向け,新規の協力施設の開拓や訪問の他,最終年度に向けての研修会の開催など,人件費や交通費などで使用を考えている.また研究成果の発表を国際学会などで行うこととし,その経費に充てていくことを計画している.
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