研究課題/領域番号 |
15K08825
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
梅村 朋弘 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10401960)
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研究分担者 |
福原 輝幸 広島工業大学, 工学部, 教授 (10156804)
寺崎 寛章 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (40608113)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バングラデシュ / 地下水 / 塩水化 / 尿中塩分 / ナトカリ比 / 血圧 / 太陽熱淡水化装置 |
研究実績の概要 |
バングラデシュ南部デルタ地帯は水道などの公共インフラは整備されておらず、国際支援も十分ではない。一方、生活用水源である地下水やため池など表流水の塩水化が深刻な地域でもある。低地であるため、雨季の洪水時には海水が内陸部まで入り込みやすい他、主要産業であるエビ養殖のために海水を引いていることも生活用水源が塩水化する一因である。生活用水源に塩分が多く含まれると、住民の塩分摂取量が増えて高血圧やより深刻な循環器疾患を引き起こすことが懸念されるため、安全な水を得られるようにすることが必要である。しかし、発展途上国の僻地に大規模で先進的な造水装置を導入しても、住民は自分たちで維持管理ができず、いずれ使わなくなる。そこで、本研究では、自分たちで維持管理できるシンプルな仕組みの造水装置(太陽熱淡水化装置:TrSS)を世帯ごとに導入して、それにより、健康状態が改善されるか検討した。具体的には、TrSSの導入前後で、尿中塩分指標であるナトカリ比や血圧を比較した。TrSS導入前(ベースライン)、井戸水やため池の水を飲用としていた群(非雨水群:29人)と雨水を飲用していた群(雨水群:10人)では、非雨水群の方が有意にナトカリ比が高かった。これは雨水には塩分が含まれていないためと考えられる。そして、非雨水群は、TrSS導入後は、ナトカリ比が有意に減少した。また、収縮期血圧も有意に低下した。現地での活動時間を十分にとることができず、サンプルサイズが小さい研究となってしまったが、生活用水源の塩水化に悩む地域において、TrSSが解決策となり得ることを示す結果が得られた。
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