研究課題/領域番号 |
15K08827
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
岩本 淳子 天理医療大学, 医療学部, 教授 (80290435)
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研究分担者 |
大林 賢史 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30596656)
新田 利子 (中川) 佛教大学, 保健医療技術学部, 助教 (90635096) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 病院内転倒 / 病床の明るさ / サーカディアンリズム / 在院日数 / 入院医療費 |
研究実績の概要 |
高齢者が入院中に転倒する危険因子として、睡眠障害・うつ症状・認知機能障害は重要である。近年の研究から睡眠障害・うつ症状・認知機能障害の発症には、サーカディアンリズムが重要な役割を果たしていることが分かってきた。日中の光曝露はサーカディアンリズムを整え、睡眠の質・うつ症状・認知機能を改善することが報告されている。本研究の予備調査で窓側病床の日中の平均照度は非窓側病床より有意に高いことを明らかにした。本研究の目的は、病床の明るさによる転倒や病気の回復過程への影響を明らかにすることである。 研究3年目となる平成29年度は、病室の明るさ調査から得られた時系列照度データを分析し、季節や方角に関わらず、非窓側病床の日中光照度は窓側病床より有意に低いことを明らかにした。また、自宅で生活する高齢者(1113名)の光曝露量と比較して、非窓側病床の日中光照度は有意に低く、窓側病床は家庭環境と差がないことを始めて明らかにした。その成果は原著論文としてChronobiol Intされた(Iwamoto J et al. Decreased daytime light intensity at non window hospital beds: Comparisons with light intensity at window hospital beds and light exposure in nonhospitalized elderly individuals. in press)。 患者抽出調査として、窓側・廊下側病床に入院した患者40名以上に対して腕時計型照度計を用いて光曝露量を実測した。窓側・廊下側病床と院内転倒に関する前向き研究について、800人以上のベースライン調査を実施した。窓側・廊下側病床と院内転倒に関する後ろ向き研究は、入院時の病床位置(窓側・廊下側)に加えて年齢、性別などの交絡要因を電子カルテから抽出し、院内転倒発生データを突合するための分析プログラムの構築を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者抽出調査、窓側・廊下側病床と院内転倒に関する前向き研究、窓側・廊下側病床と院内転倒に関する後ろ向き研究に関する調査・測定がおおむね当初の予定通りに実施できているため。また本研究の重要な先行知見となる論文を科学誌に採択・掲載されたことは評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は患者抽出調査、前向き研究を継続する。また後ろ向きコホート研究の分析を進める。本研究に関わる関連病院や研究者との協力体制を維持できており、目標達成することが可能であると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析ソフトの開発料金と測定機器の修理費が最小金額に抑えられた。
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