研究課題/領域番号 |
15K08828
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
藤枝 恵 久留米大学, 医学部, 助教 (80420735)
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研究分担者 |
内村 直尚 久留米大学, 医学部, 教授 (10248411)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | プライマリーケア / 疫学 / うつ病 |
研究実績の概要 |
我が国における平成27年の自殺者数は、警察庁の発表によると約2万4千人である。ここ数年減少傾向に転じたとはいえ、毎年2万を超える多くの命が自殺によって失われ続けている。こうした自殺者の多くは既遂前に内科を受診する。自殺者の約半数が既遂前の1か月間に内科を受診していたという報告もある。全国約6万の内科診療所は、総合病院に比べ利便性が高いため、多くの人が日常的に受診する。自殺既遂者も例外ではない。自殺対策における内科診療所の役割は極めて大きいと考えられる。自殺者の約9割は精神疾患を有していたという報告もみられる。中でも自殺のリスクが高いのはうつ病である。ところが、厚生労働省の平成23年受療行動調査の概況によると、我が国の外来診療時間は全体の6割が10分未満、9割が20分未満である。このような短時間の診察で、うつ病などの精神疾患を見逃さず、適切に診断することは容易ではない。初診であれば、症状の評価はさらに難しい。内科でうつ病が見落とされやすいことは20年以上前から指摘されている。しかし、この状況はあまり改善されておらず、うつ病患者の診察に苦手意識を有する身体科の医師は半数以上に上る。そのため、本研究では、内科診療所受診者のうち、特に初診の患者を対象に、希死念慮を伴ううつ状態の関連因子について検討する。これまでに内科診療所で収集した情報をもとに、今後、詳細な解析を行い結果を導く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、データ収集およびデータ入力が終了したため。
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今後の研究の推進方策 |
収集した情報をもとに、登録時に希死念慮およびうつ状態のいずれの症状もない者を解析対象とし、希死念慮を伴ううつ状態の発症に関連する要因について解析を行う。今後、詳細な解析を行い、リスク要因を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象者から得られた情報に不備が少なく、情報収集が予定よりも早く完了したため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究を進めるにあたり、学会等で研究発表を行う必要がある。また、学会以外でも関連分野の研究者と意見交換を行う必要があるため旅費を必要とする。詳細な解析を行うため、データ解析の補助にかかわる研究補助員への謝金が必要である。研究成果を論文にまとめるにあたり、論文の複写や取り寄せにかかわる費用、およびコンピュータ用記憶媒体(ハードディスク、USBメモリー)を必要とする。
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