国民の医療の質への関心の高まりに対応して、DPCデータなどの医療業務データを用いた医療の質評価が広まってきている。本研究では、我が国で過去5年間に多くの医療機関で実践された医療の質評価とその公表等の医療の質改善への反映を検証した。一部の臨床指標の公表開始後、医療の質改善の傾向が認められたが、パブリックレポーティングの効果とは断定できなかった。医療の質の公表に対する国民の認識が十分でないこと、公表手法等が定まっていないこと、国民の医療選択の判断基準がよくわかっていないことなど、多くの課題が浮き彫りになった。今後は、医療の質評価の制度化のあり方を含めた検証を進める必要性があると考えられた。
|