消化器内視鏡を介した感染報告の集計から、感染源となる微生物や検査手技には時代的変化がみられ、近年、多剤耐性菌や複雑な構造を有する内視鏡を介した感染の増加が明らかとなり、その背景には耐性菌の増加と感染管理における分子疫学的手法の普及が推定された。本研究により、アデノシン3リン酸は消化器内視鏡の清浄度の指標として有用であることが確認された。ガイドラインに基づいた標準的な洗浄方法により、上部・下部消化管内視鏡ではほぼ安定した洗浄効果が得られるものの、複雑な構造を有する内視鏡では、内視鏡個体や評価部位によって清浄度が異なる可能性があることが示唆され、より慎重な感染管理が必要であることが明らかとなった。
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