研究課題/領域番号 |
15K08843
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田辺 正樹 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (50456737)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 院内感染対策 / 微生物サーベイランス / 抗菌薬サーベイランス / 手指衛生サーベイランス |
研究実績の概要 |
本研究は、院内感染対策の質向上のための包括的システムの構築が目的であり、(1)微生物サーベイランス、(2)抗菌薬サーベイランス、(3)手指衛生サーベイランスの大きく3つの観点で研究を行なった。 (1)微生物情報収集の一環として、平成27年度は、三重県院内感染対策サーベイランス(Mie Nosocomial Infection Surviellance:MINIS)の立ち上げを行い、三重県内45病院よりデータの収集を開始した。本年度収集したデータの解析が終了次第、三重県感染対策支援ネットワーク(Mie Infection Control Network:MieICNet)のホームページ上でデータを公表する予定である。 (2)抗菌薬適正使用を図る上での基礎データ収集の一環として、厚生労働省レセプト情報・特定健診等情報データベース(national databese:NDB)の申請を行った。2011年1月から2013年12月の3年間の医科入院・医科入院外・DPC・調剤レセプトを対象とし、医薬品データ(主として一般細菌に作用)を「入院・外来」、「都道府県別」および「年齢階級別」に年度毎に抽出し、抽出された薬剤の総使用量を集計し、抗菌薬の系統別にまとめ、地域別、年齢階級別の特性や年次推移を評価する予定である。 (3)手指衛生遵守率測定の新たな手法として、2015年5月の新外来棟開院時に、全ての外来診察室に手指消毒薬の使用回数の測定が可能な機器を導入した。2015年9月からデータ収集を開始した。病院全体のベースラインの遵守率は10.7%であったが、診療科別のデータのフィードバックを開始したところ、3ヶ月目の2015年12月の時点で18.2%まで上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)微生物サーベイランスの実施には、行政機関や三重県内全域との調整が必要、 (2)抗菌薬サーベイランスの実施には、厚生労働省への申請が必要、 (3)手指衛生サーベイランスの実施には、病院内の調整が必要 となるが、いずれも当初計画した内容に応じて、概ね順調に進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)微生物サーベイランスとして、平成27年度のデータの解析が終了次第、公表する予定であり、このデータ解析を通じて、地域における微生物サーベイランスのあり方について、必要に応じ見直しを行なっていく。 (2)抗菌薬サーベイランスに関しては、NDBデータが入手でき次第、解析を開始する予定である。 (3)手指衛生サーベイランスに関しては、手指衛生遵守率測定とそのフィードバックの効果に関して論文化を進めるとともに、遵守率を向上させるための効果的な手法について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗菌薬使用量調査のためのNDBデータの解析に関して「特別抽出」の申請を行い、そのデータ解析のためのシステム開発を予定していたが、今後、新NDBシステムとして、オンサイトセンターの活用が可能となる可能性が示されたこと、及び、「集計表情報」でも、必要なデータ収集が可能であることが判明したため、本年度は、データ解析のためのシステム構築を見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
NDBの「集計表情報」の解析を行なうにあたり必要な機器や学会発表等に必要な旅費に当てることを計画している。
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