本年度実施した研究で、研究代表者は以下の知見を得た。
1.地域住民におけるMRSAの保菌率およびその性状 院内でのMRSA対策を効果的に実施するためには、患者がどのようにしてMRSAを獲得したか明らかにすることが重要である。地域住民1274に対してMRSA保菌調査を行った。検出されたMRSAをMLST法によって解析した。地域住民のMRSA保菌率は0.94%であった。黄色ブドウ球菌の保菌者のなかで、それがMRSAである割合は2.6%であった。住民が保菌するMRSAのMLSTタイプは、病院内で流行しているものと異なっていた。以前の入院は、MRSA保菌の危険因子であることが判明した。以上より、日本において地域住民のMRSA保菌率は低いが、入院を契機に病院から地域へMRSAが伝播する可能性が示唆された。
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