研究実績の概要 |
平成30年度は、亜鉛の推定精度を向上させることを主に研究を行った。平成29年度までの学習データセットでの血清亜鉛各濃度域のサンプル数において、低濃度域のサンプル数が多く高濃度域が少ないデータセットであったため、全濃度域で均等なサンプル数となるよう調整し解析を行った。昨年までは、血清亜鉛濃度を65μg/dLをカットオフ値として解析を行い、ROC解析によりPreAlbminテール位置(易動度:M33)の低下(AUC=0.737)、albminテール位置(易動度:M77)の低下(AUC=0.750)βピーク位置(易動度:M203)の低下(AUC=0.705)の結果と、ロジスティック回帰式による、3.607 +(- 0.065)× M33 +(- 0.012)× M82 + 0.015 × M83となり、AUC=0.791の結果が得られたが、カットオフ値を65μg/dLのみでなく、40,50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150 μg/mL の各濃度でもROC解析を行った。その結果、血清亜鉛濃度のカットオフ値を100μg/dL以上とする高値側血清亜鉛濃度でもAlbminとα1の間、α2の領域、β1とβ2の間で高いAUCが認められた。これらの情報を総合的に用いて予測した場合は、非常に高い亜鉛欠乏の分離性能有する判定が可能である。 蛋白電気泳動検査は、非常に安価な検査であるが、得られる情報量は多く、従来からの5~6分画での評価のみでなく、我々の開発した波形易動度の標準化技術を適用することで、波形ピーク前後の歪の形から血清亜鉛濃度を推定することが可能であると示唆された。
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