研究実績の概要 |
「人工心肺を用いる大動脈弁置換術(SAVR) vs. 経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)」における費用対効果検証プロトコールを作成し実際にそのDPCデータを用いてどのようなことが判明するかを検討した。 <データ抽出プロトコール作成> 当科の手術リストから単独SAVR症例(79例)、TAVI症例(67例)を抽出し、それぞれのDPCデータを解析し、どのような条件設定が最も優れた検出率を示すかを検討した。結果として、SAVRは手術名K5551(弁置換術1弁のもの)に入院の契機となった傷病名が(AS(I350)あるいはASR(I352))を加えて検索することで95%という高い検出率に到達可能であった。一方、TAVIは手術名1から5の中にK555-2(経皮的大動脈弁置換術)を含むもので検索すると100%の患者を過不足なく検出できた。 <DPCデータにてどのようなことが比較できるか?> 上記対象中で完全なDPCデータを入手可能であった単独大動脈弁置換術SAVR77例(S群)とTAVI65例(T群)を比較した。在院死亡:S群: 2.6%(2/77),T群0%(P=0.19)、ICU滞在期間:S群平均2.2日、T群1.9日(P=0.43)、病院滞在期間: S群30.8日、T群21.9日(P=0.001)、30日以内の再入院:S群: 6.5%(5/77),T群9.2%(6/65)(P=0.54)、出来高合計:S群496.5万円、T群633.8万円(P<.0001)、薬剤出来高:S群59.1万円、T群22.7万円(P=0.005)、材料出来高:S群166.1万円、T群465.3万円(P<.0001)であった。これらの結果から、TAVI群のほうが、低侵襲であるがゆえに在院日数は短く、薬剤、検査費用は低額であるが、材料出来高が高額であるため総医療費は高額であるという結論を得た。
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