研究課題/領域番号 |
15K08855
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
大場 久照 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (50419222)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ウェブアクセシビリティ / ウェブサイト / ユーザビリティ / 医療情報 / 障害者差別解消法 / 公的医療機関 |
研究実績の概要 |
全国401のがん診療連携拠点病院ウェブサイトを対象に,総務省が開発したmiCheckerを用いてトップページのJIS X 8341-3:2010に基づくウェブアクセシビリティ(WA)の検証および,目的達成までの有効性と効率に関するウェブユーザビリティ(WU)を検証した。WAは知覚可能,操作可能,理解可能,頑健性の4つの評価項目別に算出された点数(0-100点)を病院別・都道府県別に集計し,総務省ガイドラインに基づくWA基本方針のウェブサイトでの提示とJIS達成等級Aの25項目別の“問題あり”の内容とその割合を調査した。WUはセカンドオピニオンおよびがんの手術・治療件数の各情報の有無と到達経路の調査に加え,各都道府県開設の「医療情報ネット」および国立がん研究センターがん対策情報センターが開設する「がん情報サービス」へのリンク状況を調査した。4評価項目平均では滋賀県が93点と最も高く,岐阜県が75点と最も低かった。項目別では知覚可能が全平均で62点と最も低く,特に岡山県で37点と顕著に低かった。WA基本方針のウェブサイトでの提示は5病院のみであった。全体の88%の病院で達成基準に問題ありの箇所があり,その中の72%の病院で非テキストコンテンツの基準に問題があった。セカンドオピニオン情報は全体の92%の病院で掲載され平均2クリックで到達できた。がんの手術・治療件数情報は全体の45%の病院でしかウェブサイトに掲載されず,秋田県と富山県の病院ではウェブサイトに情報が掲載されていなかった。医療情報ネットとのリンクは全体の9%,がん情報サービスとのリンクは全体の24%で,9県68病院のウェブサイトで両情報サービスとのリンクがなかった。これらのことから,がん診療連携拠点病院ウェブサイトでは障害者・高齢者に対する情報アクセス性の問題だけでなく,住民へのがん診療情報提供体制の問題も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国401のがん診療連携拠点病院のウェブサイトを対象にして,JIS X 8341-3:2010に基づくウェブアクセシビリティおよび医療情報へのアクセシビリティの一部の解析を終了したため。
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今後の研究の推進方策 |
ウェブサイトのユーザビリティ(使いやすさ)を評価するにあたり,ウェブデザインやウェブサイトの構造に関する分析には本学のウェブデザインの専門家に研究協力を要請し,より客観性を高めるための方策をとる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
テキストマイニングソフトウェアのバージョンアップ時期について,ソフトウェアのバージョンアップの内容をみて次年度と判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
テキストマイニングソフトウェアのバージョンアップ費用にあてることを予定している。
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