1.病院ウェブサイトのアクセシビリティ・ユーザビリティの検証 全国401のがん診療連携拠点病院ウェブサイトを対象に、総務省が開発したmiCheckerを用いてトップページのJIS X 8341-3:2010に基づくウェブアクセシビリティの検証および目的達成までの有効性と効率に関するウェブユーザビリティを検証した。その結果、がん診療連携拠点病院ウェブサイトは障害者・高齢者に対する医療情報へのアクセス性の問題だけでなく、住民・患者へのがん診療実績等の情報提供体制の問題も明らかになった。 2.障害者差別解消法施行後の病院ウェブサイトの状況 がん死亡率の高い北海道・東北地方の64のがん診療連携拠点病院ウェブサイトを対象に、障害者差別解消法施行後の病院ウェブサイトのJIS X 8341-3に準拠したウェブアクセシビリティへの対応・改善状況を、総務省のmiCheckerを用いてトップページを2015年8月時点の同ウェブサイトと比較検証した。その結果、北海道・東北地方のがん診療連携拠点病院ウェブサイトの多くはJIS X 8341-3に準拠したウェブアクセシビリティへの対応に遅れのあることだけでなく、1年前のウェブサイトと比べ評価が低下している病院もあることが明らかとなった。 3.ウェブアクセシビリティに対応したウェブサイトの作成・公開 北海道のがん診療連携拠点病院の一つである市立函館病院との共同研究により、JIS X 8341-3に基づくウェブアクセシビリティに準拠した住民・患者視点のウェブサイトを作成し、公開した。今後、公的機関の位置づけである医療機関は、総務省の運用ガイドラインを参考に、ウェブサイトをJIS X 8341-3に基づく適合レベルAAに早急に準拠することが求められるとともに、ユーザビリティ改善のため病院共通メニュー体系(ユニバーサルメニュー)の構築が求められる。
|