本研究課題は、厚生労働省主管の公的統計調査である受療行動調査の経時データを用い、病院における患者満足度をはじめとした患者立脚型アウトカムを対象に、その経時的変化に影響を与える因子(病院側の要因、患者側の要因)を探索し、病院環境の改善などの介入効果を統計モデルよって実施することにある。 最終年の本年は、受療行動調査と医療施設調査の調査票情報の15年間の経時データを用い、病院における患者満足度をはじめとした患者立脚型アウトカムを対象に、その経時的変化に影響を与える因子(病院側の要因、患者側の要因)を探索することである。今回、受療行動調査等のデータを統計法第33条に基づく申請により入手し、受療行動調査の調査項目「患者の満足度」の各項目(外来8項目、入院7項目)ごとに個人要因(性別、年齢)、施設要因(病床規模、病院の種類、開設者、医育機関、退院調整支援、受動喫煙防止、緩和ケア)、経時的要因(平成11年、平成14年、平成17年、平成20年、平成23年、平成26年の6時点)との関連を多重ロジスティック回帰モデルにより検討した。また施設・時間の相関構造を考慮するため、ロジスティック変量効果モデルを実施した。その結果、病床規模、病院の種類、受動喫煙防止、経時的要因で満足度との関連がみられた。今回の検討により、患者の満足度と、そのの規定要因との関連がわかり、患者ニーズに影響を与える新たな要因が発見された。
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