研究課題/領域番号 |
15K08860
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
和田 義之 日本大学, 医学部, 助手 (80246496)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ワクチン / ウイルス抗体価 |
研究実績の概要 |
1.平成28年4月上旬、平成28年度の日本大学医学部新入生および4年生全員を対象として静脈血を各10mL採取した。デンカ生研(株)製のウイルス IgG 抗体 EIA 測定キットを用いて、静脈血サンプルの麻疹、風疹、水痘、ムンプスに対する IgG 抗体価および IgG 抗体 avidity を測定した。また、デンカ生研(株)製のウイルス IgM 抗体 EIA 測定キットを用いて、麻疹、風疹、水痘、ムンプスに対する同じサンプルの IgM 抗体価を測定した。 2.麻疹 IgG 抗体価16.0未満、風疹 IgG 抗体価8.0未満、水痘 IgG 抗体価4.0未満、ムンプス IgG 抗体価2.0未満をワクチン接種基準とし、各ワクチンを接種することを対象者に勧奨した。後日、ワクチン接種対象者がワクチンを接種したことを確認した。 3.平成28年度の研究協力者は、麻疹ワクチン接種者24名(1年生18名、4年生6名)、風疹ワクチン接種者10名(1年生8名、4年生2名)、水痘ワクチン接種者6名(1年生4名、4年生2名)、ムンプスワクチン接種者10名(1年生9名、4年生1名)であった。全ワクチン接種者に占める研究協力者の割合が4割程度であった。 4.研究協力者を対象に、麻疹、風疹、水痘、ムンプスに対するワクチンを接種した後6~8週時点で静脈血を各10mL採取した。デンカ生研(株)製のウイルス IgG 抗体 EIA 測定キットを用いて、静脈血サンプルの麻疹、風疹、水痘、ムンプスに対する IgG 抗体価および IgG 抗体 avidity を測定した。また、デンカ生研(株)製のウイルス IgM 抗体 EIA 測定キットを用いて、同じサンプルの麻疹、風疹、水痘、ムンプスに対する IgM 抗体測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1.平成26年9月に「院内感染対策としてのワクチンガイドライン」が改訂され、ワクチンガイドライン第2版「医療関係者のためのワクチンガイドライン」として日本環境感染学会から公表された。このたびの改訂により、医療機関における予防接種は、個人個人への厳格な予防(individual protection)を目的としないことが明文化され、医療機関という集団での免疫度を高める(mass protection)ことが基本的な目的となることが改めて定義された。そのため、原則としてワクチン接種は2回までで良いこと、ワクチン接種後の抗体価検査が不要であることが明記された。本学でも平成27年度から新しいガイドラインに従った抗体価検査とワクチン接種スケジュールに変更されたため、研究計画も変更が必要になった。大きな変更点は、ワクチン接種後の抗体価検査が撤廃されたため、採血済みの検体を研究に用いることができなくなり、採血と抗体価検査そのものに事前の学生及び保護者の同意が必須となったことである。そのため、ワクチン接種スケジュールと倫理委員会の承認手続きの時間的な関係上、初年度の平成27年度から研究協力者を募ることができなかった。 2.平成28年度の研究協力者は、麻疹ワクチン接種者24名(1年生18名、4年生6名)、風疹ワクチン接種者10名(1年生8名、4年生2名)、水痘ワクチン接種者6名(1年生4名、4年生2名)、ムンプスワクチン接種者10名(1年生9名、4年生1名)であった。全ワクチン接種者に占める研究協力者の割合が4割程度であった。 3.研究協力者を対象に、麻疹、風疹、水痘、ムンプスに対するワクチンを接種した後 4~6 週時点で静脈血を各10mL採取した。デンカ生研のウイルス IgG 抗体 EIA 測定キットを用いて IgG 抗体 avidity 測定を行い、デンカ生研のウイルス IgM 抗体 EIA 測定キットを用いて IgM 抗体測定を行った。
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今後の研究の推進方策 |
新年度のワクチン接種スケジュールと倫理委員会の承認時期との関係上、当初の計画から約1年遅れている。平成28年度以降は、既に人を対象とする医学系研究として倫理委員会の承認は得ているため、当初の計画通りに研究を遂行できる見込みである。また、平成28年度の全ワクチン接種者に占める研究協力者の割合が4割程度であったことから、当初の見込み人数に達しない可能性があることが今後の大きな問題である。 平成27年度以降、同一ワクチンを2回接種後でも抗体価が基準を満たさない場合にも、本人の希望があれば追加接種を推奨するように変更された。今年度からは、ワクチン接種後の調査対象者を増やすために、この学生にも研究協力を求めるようにした。また、ワクチン接種者に占める研究協力者の割合が低率であった反省から、学生を対象とした感染予防の啓蒙にも力を入れる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年9月に「院内感染対策としてのワクチンガイドライン」が改訂され、ワクチンガイドライン第2版「医療関係者のためのワクチンガイドライン」として日本環境感染学会から公表された。原則としてワクチン接種は2回までで良いこと、ワクチン接種後の抗体価検査が不要であることが明記された。本学でも平成27年度から新しいガイドラインに従ったワクチン接種スケジュールに変更されたため、本研究の計画も大幅な変更が必要になった。平成27年度は倫理委員会の承認手続きなどの関係から研究協力者を募ることができず、準備期間とせざるを得なかった。そのため、平成28年度が本研究の実質的な初年度ということになった。また、平成28年度の全ワクチン接種者に占める研究協力者の割合が4割程度であったことから、当初の見込み人数に達しない可能性がある。
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次年度使用額の使用計画 |
1.学生であっても自らが感染源とならないための感染対策が重要であること、感染対策におけるワクチン接種の重要性についてを学生に啓蒙する機会を多く設けるようにする。また、年度初めに実施する血液検査の結果からワクチン接種対象者と判定された学生に個別に研究への協力を求める。同一ワクチンを2回接種後でも抗体価が基準を満たさない場合には本人が希望すれば追加接種が可能であることを学生にアナウンスし、ワクチン接種後に研究への協力を求める。 2.研究協力の同意が得られた学生のワクチン接種前後の血液検体を用いて、IgG 抗体 avidity と IgM 抗体測定を行う。 3.平成30年度以降へ研究期間を延長することの検討を始める。
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