研究実績の概要 |
厚生労働省医政局にJANIS検査部門の研究用データ利用申請を行い2000年から2015年7月までのデータを入手した。今年度はデータのクリーニングおよび解析方法の検討のため、2014年1年間分のデータを解析した。2014年のデータには998医療機関由来の6,789,132株の情報が含まれており、うち0.8%にあたる54,429株がBacillus属であった。Bacillus属として報告された株のうち41,565株(76.4%)は菌種名の登録がなかった。Bacillus cereusは6,988株(12.8%)で、Bacillus subtilisが5829株(10.7%)、残り47株がおそらく誤入力と思われるBacillus anthracisであった。998病院のうち、134病院(13.4%)ではBacillus属の分離がなく、457病院(45.8%)ではB. cereusとして報告された菌の分離がなかった。 血液髄液検体に限定した場合、987病院より陽性菌株349,333株が登録されており、うち9,816株(2.8%)がBacillus属であった。菌種が同定されていないのは5030株(51.2%)、B. cereusが3740株(38.1%)、B. subtilisが1037株(10.6%)であった。987病院のうち236病院(23.9%)では血液髄液検体よりBacillus属の分離がなく、さらにB. cereusに限ると543病院(55.0%)では分離がなかった。100床あたりの分離株数は、中央値が0に対し、75%タイル値が0.875株、90%タイル値が2.4株、最大値が15.2株と偏った分離を示していた。Bacillus属全体で見ても同様の傾向がみられており、血液髄液検体よりBacillus属が一定数分離される医療機関は全体の10%未満と限定的である事が示唆された。
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