研究課題/領域番号 |
15K08867
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
畑 由紀子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (30311674)
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研究分担者 |
森 寿 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00239617)
木下 耕史 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10585920)
西田 尚樹 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (10315088)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Sudden unexplained death / Autopsy / Cardiomyopathy / Channelopathy / Next-generation sequence / epilepsy |
研究実績の概要 |
乳幼児や青壮年者の剖検例においては,解剖所見及び病理組織学的検索,薬物スクリーニング,生前の病歴,死亡時の状況調査の結果などを包括的に考慮しても死因が特定されず原因不明の突然死 sudden unexplained death syndrome (SUDS) と診断せざるを得ない症例が少なからず存在する.近年,欧米を中心にSUDS剖検例に対して,死因究明を目的とした遺伝性心疾患関連遺伝子の遺伝子解析,すなわちmolecular autopsyが試みられるようになった. 富山大学法医学教室では左右心室,刺激伝導系及び冠状動脈の標本作製を行った上で,1) 包括的な検査結果の検証を経て,SUDSと診断された症例を抽出し,2) 遺伝性心疾患に関わる73遺伝子について次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析を実施,3) 得られた変異体の遺伝子頻度,コンピュータ解析,機能解析,家族解析を基にした病原性の予測を行って,SUDSなどの突然死例の遺伝的背景を検索している.本研究は富山大学倫理委員会の承認を得ている. H28 年度は,これまで当教室で経験したてんかん関連急死剖検症例 sudden unexpected death in epilepsy (SUDEP) 12例を抽出し,遺伝子解析及び病理組織学的再検討を行った. SUDEP12例を対象とした検索結果では,チャネル及び心筋症関連遺伝子変異を8症例に認め,3症例には軽微な病理組織学的所見を認め,病理所見と遺伝子型の一致が示唆された.SUDEPの一部に心臓由来の不整脈器質を有する症例が一定の割合で存在し,てんかん発作を契機に急死する可能性が示唆された.本研究から,慎重な心臓の病理学的検索と心疾患関連遺伝子の網羅的解析を併せて行うことが突然死の診断に有用であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
てんかん関連急死剖検症例 sudden unexpected death in epilepsy (SUDEP)の一部に心臓由来の不整脈器質を有する症例が一定の割合で存在し,てんかん発作を契機に急死する可能性を示すことができた.また,この成果について学会発表及び論文作成することができたことからおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
前年度同様,法医剖検例から心臓突然死の疑いのあった症例について,次世代シーケンサーを用いて遺伝子解析及び詳細な病理組織検索を行い,genotype-phenotypeの関連について検討する.また,今年度は最終年度であることから、これまでの成果をまとめた学会発表を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
必要消耗品の購入に満たない額となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
残額と併せて翌年度分の請求助成金と併せて使用する予定である。
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