研究課題
本邦では年間約5万人が心臓突然死していると推定されているが,実際の剖検においては心臓性突然死であることが強く疑われるものの,詳細な病理学的検索をもってしても器質的疾患が特定されず,原因不明の突然死(Sudden Unexplained Death; SUD)と分類せざるを得ない症例が,若青年者を中心に一定割合で存在する。近年,欧米ではSUD剖検例に対して,死因究明を目的とした遺伝性心疾患関連遺伝子の解析,すなわちmolecular autopsyが施行されるようになり,器質的疾患を欠く突然死症例の一部でイオンチャネル遺伝子(KCNQ1,KCNH2,SCN5A,RYR2など)に遺伝子変異を有し,心臓突然死と診断し得ることが報告された。その後も青壮年や小児のSUD症例,1才未満の乳児の原因不明の突然死(SIDS)のいずれにおいてもチャネル遺伝子異常の関与が報告されているが,その検出率は最も高い報告でも20%程度と必ずしも高くない。研究期間全体を通じて、申請者の研究グループは主に青壮年の心臓突然死の病理学的検索,病態究明にとりくみ,次世代シーケンサー (NGS)を用いた遺伝子診断に着手し,病理組織学的検索をベースとしたチャネル遺伝子以外の心筋症関連遺伝子検索の有用性を学術論文等で報告した。最終年度に実施した研究成果として、第63回日本不整脈心電学会学術大会ではFeatured Session,第81回日本循環器学会学術集会及び第101次日本法医学会学術全国集会ではシンポジウムで学会発表を行った。これまでの研究過程から,遺伝子診断の精度向上やコスト管理,特に形態学的に有意な病理所見が検出されないてんかんや代謝異常症を背景に有する心臓性以外の突然死に対する診断能力の向上させていく必要性も明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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